- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
Topic
当グループのフィデューシャリー・デューティー
2017(平成29)年3月に金融庁が「顧客本位の業務運営に関する原則」を制定したのち、金融各社は「フィデューシャリー・デューティー」に関する取り組みについて具体的な方針を掲げるようになった *1 。「貯蓄から投資へ」のシフトを促進するため、金融事業者が顧客の利益を最優先に考え、わかりやすい商品と適切な情報提供を行うことが必要とされ、その明示が求められたのである。
「信託(Trust)」とは、「信じて託す」という言葉どおり、信頼できる人(受託者)に大切な財産を託し、目的に沿って大切な人や自分(受益者)のために運用・管理してもらう制度。その根幹には、フィデューシャリー・デューティー、すなわち受託者が受益者のために最善を尽くすという、信託の基本概念があり、創業時の三井信託の社是「奉仕と開拓」や、住友信託の設立趣意書にある「信義、誠実」の言葉から見て取ることができる(資料編「設立趣意書など」参照)。
「資金の好循環」を促進し、持続可能な社会を支えていくためには、いまや「信託」が欠かせない。進行し続ける少子化・超高齢化のなか、例えば、将来の認知症や健康の不安に備えた資産管理サービスや次世代へのスムーズな資産承継サービス、あるいは若い世代に向けた資産形成のサポートなどを通して「安心・安全」を提供していくことが、好循環を生んでいく。信任関係の基礎となるフィデューシャリー・デューティーに基づく信託ならではの仕組みである。

信託の仕組み