- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
提携戦略
〔1〕英国マングループとの提携
住友信託銀行は、2005(平成17)年にファンド・オブ・ヘッジファンド運用を強みとする資産運用持株会社であるFRM Holdings Limitedに普通株式出資(持分約5%)するとともに、業務提携契約を締結していた。そこで2012年5月、オルタナティブ運用全般を強みとする資産運用持株会社である英国マングループ(Man Group plc)が連結子会社を通じて同社を買収することに伴い、三井住友信託銀行は、従来のFRM Holdings Limitedに対する普通株式出資を当該連結子会社に対する優先株式出資に切り替え、クロージング条件の成就を前提に、マングループと業務提携契約を締結し、商品の提供に加え、共同商品開発やマーケティング、資産管理業務まで含めた内容へと提携関係を拡充。あわせて三井住友信託銀行が持分出資(持分約40%)を行う英国の資産運用会社、ニュースミス(NewSmith LLP) *1 をマングループが買収することについても合意した *2 。
2003年設立、本店はロンドン。2011年12月、住友信託銀行ならびに英国子会社を通じて、欧州年金基金など機関投資家を顧客基盤とする英国のニュースミス・キャピタル・パートナーズ(NewSmith Capital Partners LLP:NSCP)の中核事業に出資することとし、関係者と関係契約を締結。出資の前提は、NSCPが事業のリストラクチャリングを行い、NSCPのパートナーが新たにNewSmith LLP(NSP)を設立し、NSCPから中核事業を取得することだった。
〔2〕横浜銀行との提携とスカイオーシャン・アセットマネジメントの設立
当グループは、横浜銀行が推進する「フローからストックへの転換」に対して商品、販売の面でサポートするとともに、主として横浜銀行が販売会社となる資産運用会社を共同で設立することについて合意し、2014(平成26)年10月に業務提携契約を締結した。この提携に伴い、2014年10月から横浜銀行は三井住友トラスト・アセットマネジメントの「コアラップ」の販売を開始し、翌11月、中長期的かつ安定的な資産運用に資する投資商品を設定・運用するスカイオーシャン・アセットマネジメント株式会社を合弁で設立した。
2015年4月、スカイオーシャンは、当グループがそれまで培ってきた「コア&サテライト運用戦略」に基づく投資商品販売に関するノウハウやインフラを活用し、投資のタイミングにかかわらず安定的な成長を目指す投資信託「スカイオーシャン・コアラップ(安定型/成長型)」を第1号ファンドとして設定し、運用を開始した。
三井住友信託銀行と横浜銀行が業務提携先の拡大を検討するなか、2016年7月には京都銀行および群馬銀行、翌9月には東京TYフィナンシャルグループが資産運用力と販売網の強化などを目的に参画することとなり、スカイオーシャンの株主構成は、横浜銀行34%、三井住友信託銀行21%、京都銀行・群馬銀行・東京TYフィナンシャルグループが各15%となった。
〔3〕ゆうちょ銀行、日本郵便および野村グループとの提携とJP投信の設立
2015(平成27)年7月、ゆうちょ銀行、日本郵便および野村ホールディングスとの間で、新しい資産運用会社の共同設立、投資信託商品の開発等に関して、業務提携契約を締結した。ゆうちょ銀行と日本郵便は、グループの総合力を生かした商品・サービスの拡充等により、「トータル生活サポート企業」として発展することを目指しており、野村グループは、日本を含むアジアをマザーマーケットとし、グローバルに拠点を持つ金融サービスグループである。当グループも含めて、それぞれの長所、実績等に基づくノウハウ等を新会社に提供することにより、簡単でわかりやすい投資信託商品の開発等を通じ、個人のお客さまの長期安定的な資産形成を支援していくことを目指すものであった。
こうして4社合弁によりJP投信株式会社 *3 を設立し、2016年2月からゆうちょ銀行および日本郵便を主な販売会社として商品の取り扱いを開始した。JP投信は、ゆうちょ銀行と日本郵便が全国で把握した、個人の資産運用ニーズ等を踏まえ、三井住友信託銀行と野村ホールディングスが持つ資産運用ノウハウを活用して、お客さま本位でわかりやすい投資信託商品を開発。初めて投資を行うお客さまでも安心して購入できる商品を設定・運用している。