三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016

アジアでの提携戦略

当グループは、資産運用事業の強化に取り組み、特に高成長が見込まれるアジア地域を中心とする事業展開を積極化することで、付加価値の高い商品・サービスを幅広いお客さまに提供するため、海外戦略を加速、アジア市場での存在感を高めていった。

〔1〕DBSとの業務提携

2011(平成23)年5月、シンガポール最大規模のDBS銀行(DBS Bank Limited) *1 と住友信託銀行との間で包括的な業務提携の覚書を締結。同社のネットワークや機能、優れた金融商品を活用し、M&A仲介、現地通貨建て融資、債権流動化業務や不動産関連サービスなどにおいて、海外で展開する日本企業へのリレーション提供力を高めた。

2012年12月には、在インドネシアの日系企業に対する金融・銀行業務を協働で行うことについて三井住友信託銀行として覚書を締結し、2013年5月にDBSインドネシア(PT Bank DBS Indonesia)が開業。11月には社員を1名派遣し、日系企業向け金融サービスの提供を開始した。DBSインドネシアは日系企業向けの金融・銀行サービスのほか、DBSの機能、インフラを活用したCMS(Capital Markets Services)、貿易金融、デリバティブなど、広範な商品を提供したが、DBSが想定する収益を十分にあげることができず、その後、提携を解消し、DBSインドネシアを清算した。なお、DBSとの協業は継続している。

DBSアセットマネジメント(現在の日興アセットマネジメントアジア)の親会社。2011年9月に日興アセットマネジメントがDBSアセットマネジメントの全株式を取得し、住友信託銀行が日興アセットマネジメント株式の7.25%をDBS銀行に譲渡した(2021年1月、当社が譲受)。

〔2〕ベトナム投資開発銀行との業務提携~ノンバンク業務開始

2013(平成25)年12月、三井住友信託銀行は国営ベトナム投資開発銀行(BIDV *2 )と、在ベトナム日系企業に対する現地通貨建てローン・その他銀行サービスなどにおける協業を目的とした業務提携覚書を締結。調印式は在日ベトナム大使館にて挙行され、同国ズン首相以下、多くのベトナム政府関係者が参列した。この提携により、三井住友信託銀行は日系企業に現地通貨建て融資のほか、預金や決済サービス(従業員給与管理、資金回収、キャッシュマネジメント、トレードファイナンス、為替など)をはじめとする総合的な金融サービスを提供することとなった。

Joint Stock Commercial Bank for Investment and Development of Vietnam

BIDVとの業務提携の調印式

BIDVとの業務提携の調印式

2017年2月には、BIDVの子会社であるBIDV Financial Leasing Company(BLC)に対して三井住友信託銀行が49%出資し、ベトナムにおけるリース事業を共同で展開することで合意。同年5月、BIDVグループとのリース合弁会社、BIDV-SuMi TRUST Leasing Company, Ltd.(BSL)の営業を開始した。ベトナムにおけるリース市場は、ベトナム経済の成長とともに中長期的かつ持続的な拡大が見込まれた。BLC(BSLの前身)は、1998年にベトナムで最初に設立されたリース会社の一つで、ベトナムの四大国有商業銀行の一角を占めるBIDVの高いブランド力や顧客基盤を生かし、さまざまな地場企業のファイナンスニーズに対応してきた。

三井住友信託銀行は、子会社である三井住友トラスト・パナソニックファイナンスとともに、この合弁事業を通じて、BIDVの顧客基盤を活用したベトナム企業向けリースに加え、在ベトナム日系企業の販売促進に資する販売金融機能の提供や、ベトナム・ドン建て設備リースを提供して、日系企業のベトナムにおける事業拡大にも寄与していった。

〔3〕印リライアンス・キャピタルへの出資

2014(平成26)年12月、三井住友信託銀行は、インドの有力財閥の一つであるリライアンス・グループ(Reliance Group)との業務提携に向けて、同グループ傘下の総合金融サービス会社、リライアンス・キャピタル(Reliance Capital Limited)への出資に合意し、2015年3月、第三者割当増資によりリライアンス・キャピタルの株式を取得。リライアンス・キャピタルがインドで設立する予定の新銀行に出資し、人材の派遣によって銀行経営に関する経験・ノウハウを提供することとしていたが、その後インド当局の銀行ガイドラインにより、財閥による銀行設立が認められないことが確認され、2017年7月に取得した株式を売却した。

〔4〕中國信託ホールディングスと業務提携を目的とした覚書締結

2014(平成26)年10月、三井住友信託銀行は中國信託ホールディングス(CTBC Financial Holdings Co., Ltd.)と、主に日本および台湾のお客さまに対する金融サービスの提供に関して協業していくことに合意し、覚書を締結した。中國信託ホールディングスは、銀行・生命保険会社・証券会社等を傘下に持つ台湾の大手金融グループの一つで、中核の中國信託商業銀行は、台湾にとどまらず、米国、カナダ、日本、中国、香港、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、インドにも支店・現地法人を展開している。覚書の締結は、中國信託ホールディングスと専業信託銀行グループとしての高い専門性と総合力を有する三井住友信託銀行が協働し、両社グループの法人・個人のお客さまに対して、日台企業の中国大陸を含むアジアへの進出支援、コーポレートファイナンス、M&A・業務提携仲介、投資商品、不動産関連サービス等の分野での強みを融合し、トータルソリューションを提供していくものだった。

〔5〕韓国ハナグループとの協業合意

2014(平成26)年12月、当社はハナグループ(Hana Financial Group Inc.)と、日本、韓国および第三国のお客さまに対する金融サービスの提供に関し協業していくことで合意し、覚書を締結した。ハナグループは、銀行、信託会社、証券会社、資産運用会社等を傘下に有する韓国大手金融グループの一つで、韓国だけでなく、海外24カ国128拠点のグローバルなネットワークを有する。グループ傘下のハナ銀行、韓国外換銀行と三井住友信託銀行は、それぞれ2006年および2013年に業務提携を目的とした覚書をすでに締結していた。今回は、その業務提携の領域をグループ傘下の関係会社に広げ、両社の専門性を融合させるもので、銀行業務に加え、資産運用業務、不動産関連サービス等でもその強みを融合して、お客さまにトータルソリューションを提供していくこととした。

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  3. 第2編 - 第1章 - 第4節- 7 グローバルビジネスの加速 - アジアでの提携戦略