三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016

マテリアリティ・マネジメントと価値創造

事業遂行に必要な元手(資本)は、お金や設備といった財務諸表に掲載される有形資産と、人材やノウハウ、ネットワークといった金銭換算が難しい無形資産で構成される。財務的資本(前者)と非財務的資本(後者)を事業に投入し、業務を遂行することで利益が生まれ、それをまた人材育成をはじめとする無形資産に投入する。資本の循環には、こうした事業内循環と、グループ外に及んだ便益が長期的に当グループに還元される事業外循環があり、持続的成長に必要なメカニズムとなっている。

当グループが社会課題解決型ビジネスを通じ資本を循環させる仕組みを国際統合報告フレームワークに則って示したものが、価値創造プロセスである。当グループは、2015(平成27)年、自らの企業価値と社会に与える影響度という2つの視点から、価値創造プロセスに重要な影響を与える非財務項目として、重要課題(マテリアリティ)を特定し *1 、共通価値創造のためのマテリアリティ・マネジメントを推進した。

〈特定した重要課題(マテリアリティ)〉

コーポレートガバナンス

リスク管理とレジリエンス(復元力)

個人情報・顧客データ保護

公正な取引慣行への配慮

コンプライアンス

金融システムの安定性

顧客満足度の向上

金融商品の安全性

ステークホルダーとの対話

サイバー攻撃

反社会勢力との取引

人的資本

犯罪防止

投融資先の環境・社会への影響に対する配慮

「共通価値創造(Creating Shared Value)」とは、企業が社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に自らの経済的価値を創造していくという考え方である。当グループが目指す「共通価値創造」は、「経営理念(ミッション)」「目指す姿(ビジョン)」「行動規範(バリュー)」および当グループの社会的責任に関する基本方針である「サステナビリティ方針 *2 」に基づいたもので、これらのポリシーには、経済的価値や社会的価値の創造に取り組む姿勢が明示されている。

2016年にはマテリアリティ・マネジメントをさらに強化。長期投資家の視点を実務に取り込むためにインターナル・エンゲージメント *3 を実施し、ESG投資家の評価を経営に反映する仕組みを導入するとともに、特に重要なESG課題 *4 については取締役会で取り上げ、経営レベルから議論がなされた。

〈共通価値の創造プロセス〉

Process1 社会的な課題の解決に貢献するために新しい金融事業を創造する

〈主要な社会的課題〉
エネルギー問題、気候変動問題、生物多様性問題、高齢化問題

Process2 日常業務において社会適合性の向上を図ることで企業体質を強化する

〈具体的な業務〉
ガバナンス・コンプライアンス、人権に関わる問題、環境負荷の低減

Process3 社会活動への積極的な参画を通じステークホルダーの信頼を高め事業基盤を堅固にする

〈3つの活動〉
環境・生きもの応援、サクセスフル・エイジング支援、地域・社会貢献

2019年度改定、2022年度再改定

私たち三井住友トラスト・グループは、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)に基づき、お客さま、株主・投資家、社員、事業パートナー、地域社会、NPO、行政、国際機関等のすべてのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たします。①事業を通じた社会・環境問題の解決への貢献 ②お客さまへの誠実な対応 ③社会からの信頼の確立 ④環境問題への取り組み ⑤個人の尊重 ⑥地域社会への貢献

CSR部署が「疑似ESG投資家」となってマテリアリティの高い業務の担当部署と行う対話(エンゲージメント)を通じ、業務や情報開示の改善につなげること

マテリアリティを特定する過程において、ガバナンスを含む経営基盤に関わるテーマや、社員やコミュニティとの関係性を含む社会的なテーマ、資源やエネルギー問題と直結する環境的なテーマが考慮されることから、当グループではマテリアリティをESGと重なり合うものと認識している。

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