- 第２編
- 第１章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011～2016
欧米での提携戦略
〔1〕海運業界向けファイナンス
2014（平成26）年12月、三井住友信託銀行は、フランスの大手金融グループクレディ・ アグリコル（Crédit Agricole）グループ傘下のCA-CIB （Crédit Agricole Corporate & Investment Bank）と海運業界向け貸出を行うジョイントベンチャーを設立する契約を締結。両社は折半出資によるジョイントベンチャー契約にて、シーブリッジ・ファイナンス（Sea Bridge Finance Limited） *１ を設立した。10億米ドルのシニアローンを提供し、国内外の海運業界の発展に貢献した。
〔2〕SLIとの提携
2016（平成28）年６月、三井住友信託銀行は、スタンダード・ライフ・インベストメンツ（Standard Life Investments Limited：SLI） *２ との間で、日本、英国およびグローバルのお客さまに対する金融サービスの提供に関して協業していくことに合意し、覚書を締結した。SLIは、1825年創業の英国大手生命保険会社であるスタンダード・ライフ・グループ *３ の資産運用会社として、設立以来約190年の歴史を持つ生命保険運用部門が独立して1998年に設立された。SLIは、グローバルに事業を展開する運用資産残高約45兆円を有する欧州大手運用機関であり、また、英国年金基金の資産運用市場における大手のアクティブ運用機関として、グローバル株式・債券・マルチアセット・不動産等の運用において高いノウハウを有している。
SLIとは、中央三井アセット信託銀行との2010年の業務提携開始以来、それぞれ強みを持つ分野における運用ノウハウや運用商品等について資産運用サービスを相互提供してきた。覚書の締結を機に、共同商品開発の検討、マーケティング協働エリアの拡張など、業務提携領域を広げ、両社の強みを融合・深化させることで、多様化・高度化するお客さまのニーズに応えることとした。
2017年スタンダード・ライフとアバディーン・アセット・マネジメントの合併によりアバディーン・スタンダード・インベストメンツ（Aberdeen Standard Investments,：ASI）
2017年アバディーン・アセット・マネジメントと合併しスタンダード・ライフ・アバディーン、2021年アバディーン（Abrdn）に社名変更
〔3〕北米CLO市場でのJV
2016（平成28）年９月、三井住友信託銀行は、米国を本拠とするグリーンズレッジ（GreensLedge Capital Markets LLC）およびイーグルポイント（Eagle Point Credit Management LLC）とともに、北米CLO *４ に関わる各種サービス提供を目的として、マーブルポイント・クレジットマネジメント（Marble Point Credit Management LLC）を共同で設立することに合意した。
北米CLO市場は、金融危機前とは異なり、さまざまな制約から金融機関が単独でCLOの発行プロセスのすべてをカバーしたサービス（ブリッジファイナンスの提供、裏付資産のソーシング、発行のアレンジメント、CLOエクイティ、メザニン *５ など）を提供することが難しくなっていた。ニューヨーク支店を中心に約20年の投資経験を有し、CLOへの投資ならびに組成に関するファイナンスの提供等を行ってきた三井住友信託銀行は、そのような環境に着目、検討を重ねてきた。
グリーンズレッジは2016年上半期の北米CLO/CDOアレンジャーランキング上位10社に入る独立系投資銀行であり、イーグルポイントはCLOエクイティ・メザニン投資に特化したファンドマネージャーとして北米CLO市場での十分な投資実績を有していた。３社が持つ経験と機能を持ち寄り融合することで、北米CLO市場においてCLOの組成から発行までに必要なすべてのサービスを一気通貫で提供できるようになった。