- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
住宅ローン金利リスク管理の高度化
個人向けのローンは、市場金利の動向によって繰り上げ返済が発生する。なかでも住宅ローンは期間が長く、金額も大きいため、高度な金利リスクの管理が必要な商品である。マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作) *1 など、これまでにない金融政策が導入されたことを踏まえ、2017(平成29)年度には、与信ポートフォリオ変革と財務健全性の向上に取り組むなかで、住宅ローンのプリペイメント(期限前返済)リスク *2 管理の高度化を目指した。
具体的には、長期住宅ローンについて実行時期、約定金利などの管理とともに、想定プリペイメント率の乖離が期間損益に与える影響のモニタリングを強化し、確認ツールを整備して4月には月次報告体制を確立。リスク管理の高度化を着実に進めることで高品質・低価格の住宅ローンを提供し、リスクマネジメントでの収益も伸ばした。
加えて、FinTechによる新たな切り口で、リテール事業との協働により、住宅ローン管理の可能性にチャレンジ。AIを活用したプリペイメントリスクのモデル化によるヘッジ取引の効率化とALM収益計画の精緻化を目指し、実証実験を開始した。
2016年9月、日本銀行は2%の物価上昇目標に向けて、金融市場調節方針としてイールドカーブコントロールを導入。2016年1月から開始された短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ね0%程度で推移するよう買い入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。長期金利を0%、短期金利をマイナス金利にすることで、国内金融機関の収益改善を目指した。
住宅ローンや定期預金などにおいて、顧客都合により契約満期日前に解約となることで、期待収益が得られなくなるリスク。想定よりも期限前返済が減少する場合はリスク量が増加、想定よりも期限前返済が増加する場合はリスク量が減少する。特に住宅ローンは契約期間も長いことから、そのリスク量増減による収益への影響が大きい。