- 第2編
- 終章 - 独立系信託グループとして未来をひらく
独立系信託グループとして未来をひらく
統合10年の到達点と新指標
当グループは、2021(令和3)年に経営統合から10年、2022年には銀行統合から10年を迎えた。信託銀行同士の統合により誕生した当グループは、他の大手金融グループとは成り立ちも戦略も異なり、信託銀行としての独自の経営判断を行うことができる唯一の存在として、グループ一体で多彩な機能を発揮し、独自のソリューションを提供してきた。信託業界全体の受託財産は一貫して増加し、1,500兆円を超える規模に拡大(2022年度末時点)。資産運用・資産管理を中心とした信託グループとして、預かり残高が、統合以来2倍以上に増加した。
当グループは、資金・資産・資本市場といったあらゆる市場に介在し、社会的・経済的価値を提供している。統合からの10年間、横断・融合領域の新設・拡大やトッププレーヤーとの提携・出資により、時代の変化に沿った新たな価値を創出し、資産運用・資産管理ビジネスを軸として、安定的に成長してきた。そして、インベストメントチェーンの多くで社会インフラとしての役割を担うことを当グループ自身の成長の機会とし、市場の拡大と好循環を実現していくため、社会課題解決と市場の創出・拡大に貢献する取り組みの規模を示す指標として、AUF(Assets Under Fiduciary *1 )を新設。自己資金(オン)および投資家(オフ)の資金の双方を活用して社会課題解決に取り組む、信託グループらしいキャピタルライト *2 なビジネスモデルを志向し、AUFの拡大とともに収益の持続的成長を図り、資金・資産・資本の好循環を目指すものであった。
2022年度末における時価総額は1.6兆円であり、前述のとおり信託銀行としての存在感を示すことはできているものの、純資産の2.8兆円を大きく下回っていたため、純資産以上の時価総額、すなわち2030年度までに株価純資産倍率(PBR:Price Book-value Ratio)1倍以上を目指すこととした。この観点からも、自己資本利益率(ROE)については10%以上を展望することが不可欠であり、2025年度の計画を8%以上とした。

AUF、業務純益の推移