- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
「カーボンニュートラル宣言」の公表
気候変動問題が深刻化するなか、グローバルに2050年カーボンニュートラルに向けた動きが加速。当グループでは、取締役会が気候変動に関する当社の基本的方針として「気候変動対応行動指針」を策定した。また、気候変動関連のリスク管理に関して、取締役会の定めるリスク管理規定の中で「気候変動関連リスク管理方針」を定め、気候変動関連リスクに関する基本的な考え方や管理の体制について示している。
中期経営計画において社会課題解決に向けたポジティブ・インパクトの創出を基本戦略に掲げ、サステナビリティを経営の中核に据えた当グループは、2021(令和3)年10月、全世界で加速する温室効果ガス削減等の社会課題解決への具体的な貢献を目指し、「カーボンニュートラル宣言」を公表し、宣言を着実に推進するため、Net Zero Banking Alliance(NZBA) *1 に加盟。続いて2021年7月に三井住友トラスト・アセットマネジメント、同年11月に日興アセットマネジメントがNZAMI *2 に加盟し、運用ポートフォリオの2050年ネットゼロを目標とした活動を開始した。
脱炭素社会の実現に向け、社会構造・産業構造が大きく変わり始めており、技術開発や設備投資には巨額の資金が必要とされている。こうした資金需要は同時に、適切なリスクプロファイルへの転換や資産管理機能を付加することにより、低金利環境下における投資家への魅力的な商品の提供や、人生100年時代における家計の資産形成ニーズに対する投資機会の提供にもつながる。当グループは、社会の脱炭素化に向けて、信託グループならではの資産運用・資産管理ビジネスを通じ、新たな市場・投資機会を創出する「信託型金融仲介モデル」を推し進めることで、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献することとした。
カーボンニュートラル宣言の実現に向けた施策の検討と推進のため、グループ横断的な体制として「気候変動対応推進プロジェクトチーム」を設置。プロジェクトチームは、当社の経営管理各部に加え、三井住友信託銀行の各事業、欧州部、三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントおよびTrust Baseから構成され、カーボンニュートラル宣言で掲げた各種取り組みを推進し、定期的に経営会議および取締役会への報告を実施した。
UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が立ち上げた、投融資ポートフォリオのGHG排出量を2050年までにネットゼロとする目標を掲げる銀行業界のアライアンス
Net Zero Asset Managers initiative:運用ポートフォリオの温室効果ガス排出量について2050年までにネットゼロにする目標を掲げる資産運用会社のイニシアティブ

気候変動に関する対応推進体制
〈三井住友トラスト・グループのカーボンニュートラル宣言〉
2021年11月、当社をはじめとする金融機関21社は、「インパクト志向金融宣言」に署名した。宣言は、民間金融機関が組織の目的として、投融資先の生み出す環境・社会への変化(インパクト)を捉えて環境・社会課題を解決するという考え方(インパクト志向)を持つことを前提に、創出されるインパクトを測定・マネジメントを実施したうえで投融資判断を推進するために、署名機関が互いに連携して活動していこうというものである。署名機関21社は、各機関においてインパクト志向の投融資およびインパクト測定・マネジメント(IMM) *6 を実施するだけでなく、署名機関が定期的に集まり、ベストプラクティスや推進上の課題を共有しながら議論を行い、日本の金融業界がインパクト志向の投融資を自律的・持続的に発展させることができるよう努める方針とした。