- 第1編
- 第1章 - 信託制度の確立と発展 1922~1974
Column
高度成長期の夢
三井信託銀行は1964(昭和39)年、創業40周年を記念して役員座談会を開催し、創業の時代に思いを馳せつつ40年の歴史を振り返り、信託銀行の進むべき道と将来ビジョンについて語り合っている。
(創業の理念)
気賀潤二郎専務
米山さんが信託というものに取り組まれた一つの大きな理由に、社会奉仕ということがあり、入社当時は営利会社ではなくて、慈善団体のような話をしばしば聞かされました。財産管理という行為を通じて社会奉仕をしたいが、それだけでは営業として成り立たないから、金銭信託を中心とする準長期金融機関として立って行きたいという感じがあった。その考え方が非常に卓見だったと思うのです。
(戦前の発展)
白井規矩稚専務
当時金銭信託は全国で59億円、うちが10億円、18%で、もちろんトップです。もう一つ、払込資本金が750億円で、260万円が積立金、それを合計したものを1割で運用すると、家賃と税金を除いた全経費が賄えたわけです。
中山佑常務
非常に安泰な時代でした。
(ビジョン)
気賀専務
大いに儲けると同時に、社会への大きな寄付を三井信託の名前でやりたい。それが一つの夢ですね。
長谷川常務
社会への還元ですね。
「三井信託ニュース」(1964年4月 第85号 創立40周年記念特集より)
日本経済が発展拡大していた時代の理想と夢だが、底流にある思想は現在も変わっていない。