- 第1編
- 第2章 - 国際化・自由化と社会の多様化 1975~1990
「ビッグ」の登場と資金量の増大
1970年代後半から80年代前半には、石油危機後の不況を背景として、貸付信託を含む個人資産の郵貯シフトが起きた。金利の先行き低下局面にあったことに加え、1980(昭和55)年3月の「所得税法」改正公布においてグリーンカード制度(少額貯蓄等カード制度) *1 の導入と定額貯金の税制や商品面の有利性が宣伝されたことを受けて、貸付信託の大量買取や満期流出が続いた。
この時期の画期的な新商品として、都銀・地銀では1981年6月1日に新型期日指定定期預金の販売を開始。また信託業界では同年6月6日に新型貸付信託(収益満期受取型貸付信託)「ビッグ」の募集をスタートした。
ビッグは、少額貯蓄非課税制度(マル優)の限度額が元本のみに適用されるため、実質的に非課税限度枠が大幅に拡大したことや、運用収益が再運用されることにより、高利回り(結果的に貸付信託配当率による半年複利)を実現し、金利選好を強めていた個人に爆発的な人気を博した。この「ビッグフィーバー」を背景として、個人の貸付信託の伸びは急回復する。また、信託各社は、運用対象商品などの顧客ニーズヘ対応するため、積立型商品「個人年金信託」をはじめ新商品ラインアップの拡充を進めた。
マル優制度の利用者にグリーンカードを交付し、その利用状況をチェックすることにより架空名義などの脱税行為を防止しようとしたもの。1985年3月の「租税特別措置法」および「所得税法」改正により実施されることなく廃止された。

「ビッグ」パンフレット