三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第1章 - 信託制度の確立と発展 1922~1974

3 戦争の終結と敗戦直後の苦境

戦後混乱期の経済・金融

1945(昭和20)年8月、長期にわたった戦争は日本の敗戦によって終結し、日本は大きな変貌を遂げていく。経済安定本部の報告書(1949年)によると、空襲その他の戦災によって国内において失った資産(兵器、航空機、艦艇等軍事的資産の損失は含まない)の総額は、終戦時価格で643億円、戦前国内資産の4分の1余りに達していた。信託会社にとっても、富の蓄積の喪失、大口資産家の没落は、その存立基盤を失い、苦難に喘ぐ原因になった。

また、長期金融機関である信託会社にとって、もう一つの敵はインフレであった。戦後のインフレは言うまでもなく物資不足から発生したものだったが、臨時軍事費 *1 の散布がその高進に拍車をかけた。なお、臨時軍事費は、この時点では陸海軍が管理しており、軍人軍属への退職金や軍需品生産者に対する未払代金や、注文打ち切りに伴う損失補償などにあてられた。

そうしたなかで信託会社社員も応召と徴用が解かれ、続々と帰還。インフレ下で長期金融機関である信託に見切りをつけた者や家庭の事情で辞めていった者がいた一方で、会社側も、社業の存続をかけてやむなく人員整理を行わざるを得なかった。住友信託は、1946年8月に若干名を整理。三井信託は、1947年上期に希望退職を募り、およそ男性70名、女性30名の計100名がこれに応じた。

こうして苦難を乗り越えた両社は、再建整備へと向かっていく。

戦費を処理するために設けられた特別会計

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