三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023

三井住友トラスト・アセットマネジメントの動向

〔1〕資産形成の中核となるロングセラー商品の提供

三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)は、年金基金など大手機関投資家の要望に応える高品質な運用商品提供や潜在的な課題解決に資する運用商品組成等の運用ソリューションを強みとして、これらのノウハウを生かした運用商品を個人のお客さまにも提供し、長期資産形成のニーズに応えてきた。販売会社が主導してプロダクトを設定・投入して短期間に販売して垂直的に残高を積み上げるのではなく、投資家の長期資産形成に資するファンドを設定し、時間をかけて運用会社主導で残高を積み上げていくことを目指している。

2021(令和3)年5月には世界各国で官民挙げた強力かつ長期的な取り組みが期待される脱炭素を投資テーマとした「脱炭素関連世界株式戦略ファンド(資産成長型/予想分配金提示型)」を設定。同じく長期投資の枠組みであるDC向けファンドも設定するなど、「投資家目線で長期投資に資する商品」のロングセラー化を進めた。

〔2〕運用力の強化

SMTAMは、競争環境が激しくなるグローバルな資産運用市場での勝ち残りに向けて、運用力にさらに磨きをかけて、国内リテールの残高拡大、国内外機関投資家では残高およびアクティブファンド比率の維持・拡大を通じた収益拡大を目指した。国内外で関心が高まっていたESG分野においては、単に“ESG”と銘打った商品の提供ではなく、質の高いエンゲージメント、専門知識に裏付けられた適切な企業評価手法の確立などを通じて、社会的問題解決に寄与するソリューション(インパクト投資、エンゲージメントファンドなど)により新たな価値(非貨幣的価値)提供に取り組んだ。また、データサイエンスの取り組み強化を進め、ジャッジメンタルのトップダウン判断力の強化や業績予想の精度向上・負荷軽減・アウトプットの付加価値増につなげた。

2022(令和4)年にはオルタナティブデータ開発・提供を行う株式会社handsと協働し、新たなオルタナティブデータを開発、実用化した。具体的には、新型コロナにより変容した経済活動が、巣ごもりフェーズからリオープニングフェーズへ移行し、さらにインバウンド需要の力強い回復が期待される状況へと変わるなか、好転が見込まれる宿泊産業や外食産業の業績を、財務諸表によらずリアルタイムで変化する宿泊や飲食の予約等のデジタルデータから予測した。SMTAMではマクロ経済分析・産業動向分析、さらにはファンド運用にデータを活用した。

〔3〕事業領域の拡大

グローバル運用ビジネスの拡大を進めるなか、SMTAMではグローバル株パッシブにおける海外エンゲージメントの充実が課題となっていた。そこで、グローバル規模の運用会社として成長するため、運用ビジネスにおける最先端かつ最大規模の米国に独自拠点を設置することを決定。2020(令和2)年1月、米国ニューヨークにて運用に関する各種リサーチとクライアントサービスの機能を具備した100%出資の現地法人Sumitomo Mitsui Trust Asset Management Americas, Inc.を設置し、同年7月に営業を開始した。これにより米国投資家、プロダクト、運用ビジネスなどの最新情報へのアクセスが強化され、グローバル運用ビジネスでの基盤拡充が実現した。

また、新たな事業ドメインへの挑戦として、ETFビジネスにも取り組んだ。グローバルベースでミューチュアルファンドからETFへのシフトも進むなかで、SMTAMが強みとしてきた機関投資家向けの品質の高いインデックス運用のノウハウを活用できる領域であった。2021年6月に、ESG分野における投資ニーズの高まりも捉え、SMTAM初の設定となる上場投資信託として「SMT ETFカーボン・エフィシェント日本株」を東京証券取引所に上場した。

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