- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
5 CSR/ESG活動
CSR活動の動向
2010(平成22)年11月、社会的責任(SR:Social Responsibility)に関する国際ガイドライン規格ISO26000が発行され、2010年代には欧州を中心にCSRと経営の一体化が進展した。当グループはこれに先行し、2000年代前半にCSR推進のための専門部署を設置し、先進的な活動を推進。統合前の2010年度には、3つの環境金融事業(①環境/エネルギーファイナンス、②不動産、③アセットマネジメント)および④ソーシャル金融事業(介護等)、⑤With You戦略(リテール事業と一体となった地域における社会貢献活動)の5分野をCSR事業モデルと位置づけた。
2012年度には「事業を通じた社会・環境問題解決への貢献」(サステナビリティ方針)を通してCSR分野における国内金融機関を代表する地位を確立すること、2015年度には、CSR関連商品・サービスのラインアップ拡充を通じて当グループの収益拡大に貢献すること、そして独自のブランドによりCSRにおける先進企業となることを目指した。
三井住友信託銀行は、エンゲージメント、ESGインテグレーション、議決権行使の3つの取り組み *1 について、機関投資家の立場から投資先の企業価値向上や持続的成長を促し、中長期的な投資リターンの拡大を図った。また、当グループは、国際的な企業行動指針や原則に署名し、その活動を実践するとともに、国連組織や海外の企業・NGOなどと協力し合いながら、国際的な行動基準づくりへも積極的に参画した。
なお、当社は2016年4月にスチュワードシップ活動に関連する4つの会議体(SSCエンゲージメント会議、議決権行使会議、ESGモニタリング会議、SRIユニバース選定会議)を機能統合した「スチュワードシップ会議」を新設した。ここでは、スチュワードシップ活動方針、議決権行使方針、ESG関連活動方針、それぞれの承認および活動報告のほか、PRIアセスメント対応方針の検討、運用プロダクトの運用プロセスにおけるESG関連事項の検討などが行われた。
〈経営統合以降のESG投資〉
2013年
「自然資本評価型環境格付融資」を開始(融資商品としては世界初、当社調べ)
2014年
日本版スチュワードシップ・コード受け入れ
PRIアセスメントで最高評価の「A+」を獲得
2015年
ESGインテグレーション開始・「MBIS(非財務情報評価)」の導入
社債運用における「事業リスク評価」にESGの概念を織り込み開始
再生可能エネルギー事業向け投資ファンド設立
2016年
「赤道原則」に署名
エンゲージメント:投資先企業に対して意見表明することで、よりよい経営について考えるきっかけや気づきを促す。ESGインテグレーション:アナリストが投資先企業の経営層との対話や業界分析で得た非財務情報を踏まえて企業を評価し、この評価を運用に活用する。議決権行使:ガバナンスのあり方を経営に伝える。

CSRレポート(2013年度版ではフルレポートに加えてダイジェスト版、気候変動、自然資本、責任投資、環境不動産の特集冊子を制作)