三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第3章 - 金融激動と業界再編 1991~2010

中央信託銀行による北海道拓殖銀行本州地区の営業譲受

1997(平成9)年11月17日、北海道拓殖銀行が経営破綻した。都市銀行では初めてのことであった。この時点で拓銀の北海道地区の営業は北洋銀行に継承されることとなったが、本州地区の営業譲渡先は決まっていなかった。拓銀は、店舗と人員を一括譲渡できる受け入れ先を期待し、複数の金融機関と接触。中央信託銀行が営業譲渡の打診を受けたのは、1997年12月末であった。

中央信託銀行は、拓銀の本州地区の営業を譲り受けることが経営戦略にかなうものであるかどうか、譲り受ける場合に継承する預金・貸出などの範囲、店舗や人員の規模、収益力などについて慎重に検討を重ねた。その結果、拓銀本州地区の営業を原則として一括譲受することは経営戦略に合致するとともに、金融システムの安定、預金者保護などの社会的要請にも貢献できると判断し、具体的協議を進めることとした。1997年12月末時点の北海道拓殖銀行本州地区は、店舗63(うち出張所1)、預金残高約7,600億円、貸出残高(正常債権)約1兆3,000億円、従業員約1,600人(出向者を除く)であった。

信託銀行が都銀の受け皿になるということは過去に例がなく、大きな反響を呼んだ。また、本州地区のみならず北海道地区の顧客や行員からも好意をもって受け止められ、北海道内における中央信託銀行への関心も飛躍的に高まった。

1998年5月26日に拓銀との間で契約を締結、同年11月16日に59店舗・1,130人を譲受 *1 。中央信託銀行は、全国111店舗という信託銀行最大のネットワークを有し、都市銀行の利便性と信託銀行の専門性を併せ持った新しいタイプの信託銀行に生まれ変わった。そして「新世紀バンク誕生」をキーワードにキャンペーンを展開し、旧拓銀店舗における預金残高や営業基盤も順調に回復した。

なお、拓銀の本州店舗は、地主と中小企業オーナーを主な顧客層とし、密着型の営業戦略を展開しており、のちに発展していくプライベートバンキング事業の基盤となった。また、旧拓銀店舗の支店長経験者などの多くがその実績を生かして財務コンサルタントとして活躍した。

自己資本比率の低下を補うため、拓銀営業譲受日に永久劣後円建転換社債342億6,000万円をユーロ市場で発行

「新世紀バンク誕生」キャンペーンポスター

「新世紀バンク誕生」キャンペーンポスター

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