三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第2章 - 国際化・自由化と社会の多様化 1975~1990

証券代行ニーズヘの対応

1983(昭和58)年には、株式公開基準の緩和を受けて店頭公開市場が拡大し、株式公開ブームや外国企業の東京証券取引所への上場ブームが起こった。こうした環境変化に対応するため、中央信託銀行は1984年1月に証券代行の新規受託勧誘を専門に担当する受託課を新設し、全店で新規受託を獲得していく「全店化体制」を確立。1986年7月には公企業民営化第1号の日本電信電話(NTT)、同年11月には外国企業東証上場第1号の米国製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニーの証券代行業務を受託した。NTTの上場にあたり、全信託銀行と大手専業代行会社が名乗りを上げるなかで中央信託銀行が名義書換代理人として指名を受けたことは、証券代行業務における先駆的立場、業界第1位の規模とともに総合的なノウハウが評価されたからであった。

また、1984年5月には「株券等の保管及び振替に関する法律」が成立し、1991(平成3)年10月より保管振替制度が実施されることとなった。これに伴い株式事務のシステム対応の複雑化が予想されたことなどを背景として、従来は自営していた会社を含め、名義書換代理人を選任して株式事務を外部委託する動きが加速し、信託各社はこれらのニーズに対応し、内外の証券代行受託社数を大きく拡大させた。

なお、1989年4月のキャピタルゲイン課税実施に伴い、同年3月の名義書換の繁忙期には単位未満株式の買取請求が激増し、この事態がその後の証券代行事業のビジネスモデルの見直しおよびシステム開発へつながる一つの契機となった。

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