三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第1節
世界金融危機後の金融市場

1 平成不況からの回復

東日本大震災の発生

2011(平成23)年4月1日、中央三井トラスト・グループと住友信託銀行グループの経営統合により、メガバンクグループのビジネスモデルとは一線を画す独立系専業信託銀行グループが誕生し、1990年代から繰り返されてきた大手銀行の再編は終焉を迎えた。

第2編では、当グループが完全統合へとステップを進め、その最大かつ最高のステイタスを生かして専業信託銀行グループならではの事業を展開し、新たな社会課題解決へ対応していく姿を描く。初めに、経営統合前夜に起きた東日本大震災の影響とその後の事業環境について触れておきたい。

2011(平成23)年3月11日14時46分、三陸沖を震源としたマグニチュード9.0という巨大地震が発生した。「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」である。この地震による津波は東北地方沿岸部を中心に深刻な人的・物的被害を与えるとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故を引き起こした。地震と津波、原発事故という複数の災害を総称して、「東日本大震災」と呼ぶ。その被害は甚大で、2万人を超える死者・行方不明者のほとんどが津波による犠牲者だった *1 。原発事故による放射性物質の検出に伴う食品の出荷停止や風評被害なども相まって、リーマン・ショック後の急激な景気悪化から立ち直りつつあった日本経済は、再び逆風にさらされることとなった。2011年度の経済成長率(実質GDP)は、2010年度の3.3%から一転、0.5%に落ち込んだ *2 。政府は、地震発生後、直ちに緊急災害対策本部を設置するなど体制を整え、震災からの復興、再生に向けた取り組みを進めた。また国内のみならず広く海外にも支援の輪が広がり、震災からの復興は着実に進んだが、原発事故の完全収束には至っていない。

東日本大震災は、当社が経営統合する直前に発生した未曾有の災害だった。中央三井トラスト・ホールディングスと住友信託銀行の両社は、被災者の救援などに役立ててもらうため、直ちに義援金の拠出 *3 を決定した。また、役職員向けに義援金口座を開設して義援金を募集するとともに、双方の店舗においても専用口座を開設し、義援金の募集を行った。このほか、被災した個人のお客さまや事業法人のお客さま向けに、優遇金利で融資する「特別金利住宅ローン」「災害復旧支援資金融資」などの取り扱いを開始した。

環境配慮には、通常時でも不要な電力消費を減らす節電対策が欠かせないが、2011年には大震災の影響により夏期の電力不足が懸念されたため、例年以上の節電が必要となった。これに関連し、東京電力・東北電力管内で電力を大量消費する大口施設は、経済産業省から電気事業法に基づいて使用最大電力を原則15%削減することを求められた。当グループでは大口施設にとどまらず、営業店等の施設においても、空調温度の原則28℃設定、ロビー・電飾看板等の照明削減、ATMの省エネモード設定、またクールビズの期間拡大など、さまざまな対策に取り組み、15%以上の使用最大電力削減を実施した。当グループは、被災地でのボランティア活動なども含め、復興支援に全力で取り組んだ。

死者1万9,775人(災害関連死を含む)、行方不明者2,550人(2024年3月1日現在、消防庁発表)

2022年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)

日本赤十字社および社会福祉法人中央共同募金会に対して合計1億円の義援金を拠出

本店から寄せられた支援物資

本店から寄せられた支援物資

避難所行きの臨時バスに並ぶ人々

避難所行きの臨時バスに並ぶ人々

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