- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
7 グローバルビジネスの加速
グローバル戦略
国内企業の資金需要が低迷するなか、当グループはアジアの経済成長や欧米の環境変化を好機と捉え、グローバル戦略を成長の柱の一つと位置づけた。2012(平成24)年度の経営計画では、「2015年度連結ベース海外業務粗利率10%」を数値目標とし、戦略の骨子を、①アジアを中心としたオンバランス・オフバランス金融仲介の推進、②財産管理サービスのグローバル展開、③本部機能、グローバル人材および拠点ネットワーク等業務基盤の整備とした。あわせて、海外における日本企業の生産拠点の移転や新規進出に伴う資金需要に対し、欧米とアジアに展開する4つの支店を中心に、コーポレートファイナンス、プロジェクトファイナンス、債権流動化などの多様なサポートにより、2015年度に日本企業向け貸出残高を2兆円に倍増させることを目標とした。
また、欧州、米州、アジアのそれぞれにおいてエリア戦略を策定し、全事業において欧米有力金融機関および新興国における現地優良金融機関などとの提携・協業を実施。専業信託銀行としての経験を生かした資産運用型事業戦略を融合させて、独自のサービス提供力を強化した。

グローバルビジネスにおけるエリア別戦略
ホールセール事業では、海外日系向け貸出、非日系顧客基盤の開拓に注力し、日系プロジェクトファイナンスの知見を蓄積して非日系にも展開。アセットファイナンスも開始した(本節2「航空機リースファンドの共同設立」参照)。
一方、オフバランス型金融仲介では、アジアを中心に投資家開拓を推進。また、マーケット事業との連携により海外日系、非日系を対象としたシンジケートローンアレンジで2012年度にそれぞれ第1号案件を成約した。
前述のように、2012年度の時点では、海外業務粗利比率を2011年度の5.9%から2015年度に10%へ拡大することを目標としていたが、なかでも日系貸出増加の効果が大きく、2013年度には11%と計画を2年前倒しで達成した。その後、外貨調達コストが上昇したことを受け、外貨バランスシートの拡大による収益拡大から、総量コントロールの中で収益性の改善を意識した運営に転換しながら、海外業務関連収益を拡大。マーケット事業・受託事業の連携では、海外を中心としたファンド受託とセットで外国為替サービスを提供し、あわせてレンディングを活用したスキーム等により外貨調達の多様化・拡大を推進し、外貨調達コストの削減を進めた。
与信ビジネスでは、従来型モデルからの脱却と投資家ニーズに応える運用商品の提供の実現を目指し、他の邦銀に先んじて英国非日系を中心に海外不動産ノンリコースローンの取り組みを推進。プライベートバンキング事業では、非居住者ローン(日本国内不動産投資)を今後の収益の柱と位置づけて不動産仲介、運用商品提供などに注力する一方、邦人非居住者の国内残置資産については信託受託や管理委託ソリューションの提供により、財産のAUM(運用資産)化を図った。

海外日系/非日系向け与信残高の推移