- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
5 不動産事業
「圧倒的No.1」を目指して
信託業界におけるステイタスを2010(平成22)年度の主要業務で見ると、経営統合前の仲介実績では住友信託銀行グループが第2位で中央三井トラスト・グループが第4位、証券化受託残高では中央三井が第2位で住友が第4位であったが、統合によって、仲介実績第1位、証券化受託残高第1位とともに信託No.1となった。なお、2012年4月に発足した三井住友トラスト不動産の業界地位は、銀行子会社では第1位、大手不動産系仲介会社を含めても第5位であり、まずは第4位を目指した。
不動産業務は祖業の一つであり、創業時からの不動産管理・運用・仲介業務に加え、土地信託・証券化信託・ファンド関連業務・投資法人関連業務など、時代の要請に応じて先駆的サービスに取り組んできた。そして、長い歴史のなかで培われてきた高度な専門性を生かし、個々の不動産関連ニーズを的確に把握し、ソリューションに対する提案力を強化したが、顧客基盤において、メガバンクとの差は大きかった。そこで顧客基盤拡充に向けた施策を推進することとし、2012年4月の発足時にリテール事業、ホールセール事業のそれぞれに不動産情報開発課を設置して約20名を配置し、各事業との連携強化を図った。
またグローバルでは、世界有数の不動産エージェントであるナイトフランクとの提携を通じ(本項「グローバル展開」参照)、顧客ライン、サービスラインを拡大した。

中期経営計画で目指す姿
2013年度には不動産に関わる環境規制の強化に伴って拡大が見込まれた「環境不動産ビジネス」に進出。「CASBEE *1 不動産」認証申請支援コンサルティング、「CASBEE街区」認証申請支援コンサルティング、建築時における環境配慮に向けたサポート、スマートタウン・スマートシティの価値「見える化」と構想策定支援などを実施。また、2015年度には不動産コンサルティング業務の受託体制を整備し、不動産総合ファシリティマネジメント *2 業務を立ち上げ、他社との差別化を図った。これらのソリューションは他の信託では取り扱っていなかった。
ファシリティマネジメント業務では、将来的な派生メリットも見込み、ホールセール、リテールにおいてもトップセールスを展開。不動産に関するコスト適正化、業務効率化等の課題だけでなく、全体最適化の観点から間接部門(総務、庶務、管財等)の見直しも含めて、適切なソリューションを立案・提供し、お客さまの円滑な経営活動、ひいては企業価値の向上を目指した。