三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第3章 - 金融激動と業界再編 1991~2010

海外事業の拡大と縮小

海外では、支店、駐在員事務所、現地法人などの拠点を置き、現地の国際機関、外国政府、地方公共団体、企業などに向けて、円建て・外貨建て貸付、証券引受・受託業務、カストディ業務、不動産関連業務、東京証券取引所への上場支援などを提供するとともに、国内顧客に対しても国内の本支店と連携をとりながら、幅広いサービスを提供していた。

しかし1997(平成9)年の秋になると、深刻な不良債権問題を背景に日本の金融機関が相次いで破綻し、邦銀の海外金融市場での信用力は低下。これにより邦銀が海外金融市場から資金調達をする際に、資金の出し手である欧米の金融機関からリスクプレミアムとして特別に金利を上乗せされる、いわゆるジャパンプレミアム問題が発生する。この問題は1998年秋にはさらに大きくなり、ゼロ金利政策の導入、金融機関への公的資金注入を経て景気が持ち直し、日本経済への信認が回復する2000年まで続いた。

このように、日本の金融システムが内外の厳しい評価にさらされ、信用供与の収縮が懸念される状況のもと、全金融機関にとって可及的速やかに市場の信認を向上させることが喫緊の課題となった。経営の健全化に向けた業務の再構築が急務となり、邦銀は海外業務の撤退や縮小を余儀なくされたが、海外拠点は、貸出の拠点としての機能以外に、自己勘定および信託財産の運用を行うという資産運用拠点としての機能、グローバルカストディ等の証券管理サービスの機能も担っていたため、主要拠点は維持しつつ、海外の資産売却や回収などによる外貨資産の削減を進めた。

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