- 第1編
- 第2章 - 国際化・自由化と社会の多様化 1975~1990
財務コンサルタントの誕生
1977(昭和52)年4月、住友信託銀行は他の信託銀行に先駆けて「財務コンサルタント制度」を創設した。同制度は、金融自由化の進展を見据え、多様化する顧客ニーズに対して、資産管理・運用面の専門知識・ノウハウを持ったプロのコンサルタントが必要になってくることをいち早く具現化したものであり、財務コンサルタントは日本のファイナンシャルプランナーの先駆けであった。自らの専門知識やノウハウの提供だけでなく、弁護士、税理士、公認会計士といった専門家のノウハウを活用することにより、顧客の立場に立ってコーディネーター機能を担うなど、信託らしいコンサルティング業務を推進した。
その後、他の信託各社でも財務コンサルタント業務を全面的にバックアップする体制を確立し、三井信託銀行では1985年11月に「財産コンサルタント制度」、中央信託銀行では1988年3月に「財務アドバイザー制度」が発足した。これは、マル優原則廃止、金利自由化の進展、高齢化の進展、個人資産とりわけ土地や株式といった含み資産の蓄積が進むなかで、安全で有利な運用、相続税などの節税対策、含み資産活用などのニーズが一段と強く求められるようになったことを踏まえたものであった。
財務コンサルタント制度によって、質の高いサービスを提供することは、顧客との親密化、取引深耕へとつながり、このことが、個人顧客を「個客」として対応するコンサルティング営業、富裕層ビジネスヘの布石となっていった。

「財務コンサルタント」パンフレット