三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第1章 - 信託制度の確立と発展 1922~1974

三井本館、住友ビルの完成と保管業務

三井信託は、創業以来、日比谷公園前の仮営業所で営業していたが、1929(昭和4)年3月、「三井本館」(東京・日本橋)が竣工し、同年6月同館に移転した。三井本館は、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階・地下2階、米国型の古典主義建築の壮麗な建物で、三井信託のほかに三井財閥を形成する三井合名会社、三井銀行、三井物産、三井鉱山など主要企業の本社が入居し、財閥の拠点的な機能を持っていた。

三井信託は、顧客サービスの一環として貸金庫および保護預かりの保管業務を企画しており、三井本館の建設にあたって世界の金庫界の権威であった米国モスラー社製の大金庫を地下1階に設置することとした。この金庫は特殊鋼鉄製で、2つの円形大扉は50トンに及ぶ重量であったため、日本橋を渡るのは危険とされて河川を利用して運搬したという。大扉には最新の時計錠(タイムロック)がついており、営業終了後に扉を閉めて鍵をかければ次の営業日まで絶対に開くことができない仕組みとなっていた。

一方、住友信託は、創業当初、住友銀行備後町支店に本店を置いていたが、1930年に旧住友ビルディング(大阪・北浜)の第2期工事が完成し、1931年1月に同ビルに移転するとき、同時に顧客に対するサービス設備として三井信託同様、堅牢な「保護金庫」を設置した。なお、現在の住友ビルディングが竣工する1962年まで、住友信託は同ビルに本店を置いていた。「保護金庫」の名称を初めて用いたのは住友信託だという。

三井信託本店ビル 三井本館(重要文化財)

三井信託本店ビル 三井本館(重要文化財)

三井信託の大金庫

三井信託の大金庫

住友信託本店ビル 旧住友ビル

住友信託本店ビル 旧住友ビル

住友信託の保護金庫

住友信託の保護金庫

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