- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
経営健全化の推進と公的資金の完済
中央三井トラスト・ホールディングスは、2009(平成21)年7月末までに公的資金を返済する計画であったが、リーマン・ショックの影響によって2009年3月期の連結純損益が920億円となり、計画変更を余儀なくされた *1 。このため、新たに2009年10月に「経営の健全化のための計画(経営健全化計画)」を公表していたが、その後、経営統合を行ったことを踏まえ、2011年12月に三井住友トラスト・ホールディングスとして再度「経営健全化計画」を公表した。当社は、金融早期健全化法の趣旨を踏まえ、自己資本の増強によって強化した財務基盤をもとに、引き続き金融機関の有する公共的な使命に鑑み、健全な資金需要に対する円滑な資金の供給やお客さまのニーズに即応した高度な金融商品・サービスの提供等に努めた。
整理回収機構が公的資金として保有していた当社普通株式5億87万5,000株(残高2,003億5,000万円/発行額ベース)は、発行済普通株式の約12%(2011年4月1日現在)に相当した。当社は統合時より公的資金の早期返済を経営課題として掲げており、同機構の保有するすべての当社普通株式について自己株式の取得を実施し、2013年3月14日をもって公的資金全額を完済した。なお、取得した自己株式のうち2億5,000万株については3月22日付で消却する一方、金庫株として保有していた約2億1,800万株のうち大半の2億1,700万株について、5月29日に海外市場における募集を行って処分した。
2013年3月末から新たな自己資本比率規制(バーゼルⅢ)が段階的に導入されたが、当グループの自己資本比率は規制上の所要水準を大幅に上回り、質・量ともに十分な水準を確保した。公的資金を完済したことで、当社は「真の自主独立経営」にふさわしい自助自律の精神をもって、従来以上に商品・サービスのレベルアップや事務の堅確性・効率性の向上などに工夫を凝らし、改革を加速させた。