- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
独自手法「MBIS」導入
ESG活動に取り組む三井住友信託銀行では、投資先企業を評価する際に、定期的に発信される財務情報に加えて、ESG情報(非財務情報)も活用している。投資先企業の持続的成長を見極めるためで、企業が提供する商品・サービスの付加価値の高さやその持続性、付加価値の提供を支えるガバナンス体制、持続的成長の基盤となる社会・環境への影響など、財務情報では表現しきれない非財務情報を収集し、これらを企業評価に用いている。
こうした非財務情報を体系化し、具体的に運用に活用するための独自の仕組みとして、2015(平成27)年、独自開発した「MBIS(エムビス/非財務情報評価)」を導入した。MBISのMは経営(Management)、Bは事業基盤(Business Franchise)、Iは市場動向(Industry)、Sは事業戦略(Strategy)を表しており、ESG課題への取り組みに対する評価項目はMに、事業化・収益化といったESG課題の機会(オポチュニティ)の側面への取り組みに対する評価をSに取り込んでいる。また、SDGsが企業の将来的なビジネスチャンスおよび持続的成長につながるとの観点から、SDGsの概念をMBISに取り込むとともに、その17のゴールを念頭に置いたエンゲージメントを行った。
こうした取り組みの結果、2015年12月には、三井住友信託銀行が「第1回サステナブルファイナンス大賞」(環境金融研究機構)優秀賞を受賞した。同年から開始した「国内株アクティブ運用へのESGインテグレーション」において、ESG評価を国内株のアクティブ運用(約2兆円)に全面的に取り入れたことで、既存の運用手法とESG評価とを統合し、ESG対応とリターン引き上げを目指した点が評価された。翌年の第2回となる「2016年サステナブルファイナンス大賞」でも、三井住友信託銀行が優秀賞を受賞。ESG活動の一環である投資先へのエンゲージメントを、国内金融機関として初めてグローバルベースで実践した「国際規範・ルールに基づくグローバル・エンゲージメント活動」が評価されてのことだった。