- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
- 第2節
- 三井住友トラスト・グループの誕生
1 ステップ1~経営統合
三井住友トラスト・ホールディングスの発足
2011(平成23)年4月1日、中央三井トラスト・ホールディングス株式会社と住友信託銀行株式会社は株式交換により経営統合し、持株会社である三井住友トラスト・ホールディングス株式会社が発足した。これにより銀行・信託・不動産事業を一体として展開する自主独立の専業信託銀行グループ「三井住友トラスト・グループ」が誕生し、統合効果の早期実現を図るとともに、日本で最大かつ最高のステイタスを誇る信託銀行グループ「The Trust Bank *1 」の実現に向けて本格始動したのである。
折しも東日本大震災直後のスタートとなり、復興が国を挙げての喫緊の課題となっていた。統合によって経営基盤の強化を実現した当グループは、国内唯一の専業信託銀行グループとして、一層の社会的責任と公共的使命を発揮し、復興に貢献することを誓った。
経営体制については、2010年10月の両社の合意のとおり、取締役会長に常陰均(住友信託銀行取締役社長)、取締役社長に田辺和夫(中央三井トラスト・ホールディングス取締役社長兼中央三井信託銀行取締役会長)が就任した。

三井住友トラスト・ホールディングスの概要

三井住友トラスト・グループのステイタス
常陰会長および田辺社長は、発足にあたって連名で次のようなメッセージを社員向けに発信した。
三井住友トラスト・グループの発足にあたって
~三井住友トラスト・グループ発足に伴い、全職員に向けて発信された会長・社長からのメッセージ~
本日、中央三井トラスト・グループと住友信託銀行グループは三井住友トラスト・グループとして新たなスタートを切りました。本日のこの日を無事迎えることが出来ましたのも、一昨年11月の経営統合に関する基本合意の発表以来、「The Trust Bank」の創設という志を一にして、統合作業に取り組んできた皆さん、またその間の日常業務を支えてきた皆さん一人ひとりの努力の賜であり、心から感謝の意を表したいと思います。
世界的な金融危機を契機とした社会・経済の構造転換の大きなうねりの中で、「The Trust Bank」を創り上げる決意をした我々ですが、この度は経営統合の門出を我が国戦後最大の災害という極めて厳しい環境の中で迎えることとなりました。
今般の震災による被害は、日に日に深刻さを増していますが、被災地における日本人の規律正しさ、共助の精神に対しては、海外メディアからも感嘆と称賛の声が上がっており、「世界に誇るべきソーシャルキャピタル(社会的資本)を有する日本は、また新たな奇跡を起こしてくれるだろう」といった復興に対する期待と激励の言葉が相次いでいます。
我々三井住友トラスト・グループも、そうしたソーシャルキャピタルとも言うべき財産を受け継いで発足致しました。その財産とは、顧客との高度な信頼関係を重視する「信託の事業精神」です。これは、三井住友トラスト・グループの礎となる両社に脈々と受け継がれてきた創業の精神、信託への熱意や研鑽の結晶といえます。我々は、その財産を確かに受け継いでいくとともに、「未来への開花」の誓いを込めて、行動規範(バリュー)やシンボルマークの中にも取り入れました。
また、我が国唯一の専業信託銀行グループである我々には、他の金融機関よりも高い社会的責任と公共的使命を果たすことが期待されています。現在のような厳しい環境においては、我々は、更に一段高いレベルでその責任と使命を果たしていかなければなりません。統合にあたり、「新グループの目指す姿」として経営計画にも定めたように、両社が築き上げてきた経営資源を結集することで、独自の金融仲介機能や課題解決能力を遺憾なく発揮し、お客様、社会、延いては日本の再生に貢献し、「これぞ信託銀行」という社会的存在意義を確固たるものとする覚悟をここで共有しておきたいと思います。
本日の三井住友トラスト・ホールディングスの発足によって、統合全体の仕組みの整備には概ね目処が付きましたが、今後はいよいよ、一つの信託銀行を創り上げる実務フェーズに突入します。具体的な統合作業を着実に進めるのは当然のことながら、信託銀行統合に先立って、各現場の一人ひとりが事実上ワンバンクの精神で協働活動を推進し、統合の成果を逸早く発現していきたいと思います。
今般の統合により、本邦の金融機関の中でも確たるステイタスを有することとなりますが、我々は常に飽くなき理想を追求するチャレンジャーでありたいと思います。
日本再生の門出とともに、傘下信託銀行及び全関連会社の役職員が一丸となって、「The Trust Bank」の実現に向けて力強く第一歩を踏み出していきたいと思います。
2011年4月1日
取締役会長 常陰 均
取締役社長 田辺 和夫