- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
年金関連業務の動向
年金関連業務のうちDBでは、マーケットの成熟と規制緩和に伴うプロダクトの競合が激しくなるなか、企業年金の多様化・複雑化する潜在的ニーズに先回りした年金制度・運用一体型コンサルティングの提供により、受託残高・収益の拡大を目指した。具体的には、負債特性や市場環境等を勘案した年金運用の潜在的な課題を特定、顧客と共有し、年金ポートフォリオ全体のリスク分散・リターン改善に資するストラクチャー提案を実施。加えて、オルタナティブ投資はじめ新たな投資機会のトレンドメイクや優秀な海外運用会社を含む真に良質なソリューション・プロダクト提供に注力することにより、制度・運用を俯瞰した高付加価値サービスの提供につなげ、他社との競争優位の確立を図った。
その象徴である「セミナー戦略」では、市場環境変化や顧客の抱える課題を捉えた旬なテーマを選定、具体的な解決の方向性とソリューション・プロダクトをセミナーで提示し、セミナー後、顧客ごとに適したフォロー提案をスピーディに展開するなど、効果的・効率的なコンサルティング営業を推進した。
DCでは、大型DB総幹事先を中心にDB・DC一体の制度コンサルティングと多様な企業ニーズにきめ細かく対応する運営管理サービスインフラを強みに、着実なDC基盤獲得を推進した。特に「加入者の投資の実践」に強くこだわった投資教育の高度化には他社に先駆けて取り組み、DB運用で培ったノウハウ展開による投資初心者でも選択しやすい商品提供(例:オルタナティブ投資を組み込むバランス型投信は業界初の取り組み)と相まって、高い投信選択率の実現とDC投信残高シェアの拡大につなげた。
さらに、マッチング拠出解禁や企業の福利厚生拡充ニーズの高まりなどを受け、企業型DC加入者向けにライフプラン要素を取り入れた投資教育へ発展させ、積立制度やライフプランセミナーなど現役時代の資産形成にも資するプランも合わせて導入することにより、在職時から退職時、退職後までの個人の資産運用・資産管理のカバーを通じた「リテール顧客化」を図った。

企業型DC加入者数およびDB残高の推移