三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016

3 証券代行事業

「信託No.1」の奪還

証券代行業務とは、発行会社の株式事務を会社に代わって行う業務であり、株主名簿の管理や株主総会の招集通知等の封入発送、配当金の計算・支払い等に関する株式事務のほか、株式法務コンサルティング、株主総会運営支援、IR・SR *1 活動の支援、新規株式上場に関するコンサルティングなど、独自のノウハウやネットワークを生かしたサービスを提供するものであり、投資家・株主戦略、株式・資本戦略等の経営課題のコアパートナーとなって、企業価値の向上を支援している。

中央三井トラスト・グループは、かつて証券代行業務で信託No.1グループとして、長い間業界をリードしてきたが、金融再編に伴い顧客企業との関係が変化したことや株券電子化への対応を背景に委託替営業の攻勢にあって、2000年代前半期を中心に管理株主数、受託社数が減少した。さらに2005(平成17)年には三菱信託銀行がUFJ信託銀行と合併。No.1となった三菱UFJ信託銀行のシェアは、上場会社受託社数、管理株主数ともに4割を超え、それぞれシェア25%前後の中央三井トラストとは大きな差がついていた *2

当初、経営統合によってもこの差は解消できず、証券代行No.2のポジションでスタートする見込みであったが、2012年1月、住友信託銀行がJBISホールディングスから、子会社である日本証券代行の株式取得の要請を受けて株式取得を決議。日本証券代行は、引き続き同商号を使用し、独自性を保ちつつ、サービス面や人材面では当グループと連携し、サービスの高度化を推進することになった。なお、同社は日本証券金融からも14.9%の出資を受けた。 こうして、当グループは日本証券代行との合算で、2011年9月基準で管理株主数では業界第1位の規模でスタートしたが、受託社数は三菱UFJ信託銀行にわずかに及ばなかった。

証券代行事業の組織については、お客さまへの影響を考慮して2012年4月の統合を見送り、同年10月に実施。法人営業各部とのミラー化を行うとともに、未上場担当課(IPO支援課)を設置した。また2013年4月には証券代行コンサルティング部に株主戦略企画チーム、IR・SRチームを設置した。

なお、証券代行事業のシステム統合については、住友信託と中央三井トラストで受託基盤等にボリュームの差があったため、中央三井トラスト系の日本株主データサービス(第1編第3章5「株券の電子化と日本株主データサービスの設立」参照)のシステムが採用された。日本株主データサービスは、住友信託、日本証券代行受託先のバックオフィス業務も受託することになり、代行事務・システムではシェア6割を占める業界スタンダードの地位を確立した。

企業の投資家に対するコミュニケーション活動をIR(Investor Relations)活動と呼ぶのに対し、株主総会での議案説明や賛成票の確保など、投資家のうち、特に株主に焦点を当てた活動をSR(Shareholder Relations)活動と呼ぶ。

住友信託銀行は、上場会社受託社数で第4位、管理株主数で第3位

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