- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
バーゼルⅢ最終化合意
2008(平成20)年のリーマン・ショックを機に、自己資本比率の水準引き上げ、ノンリスクベースの自己資本比率であるレバレッジ比率および資金繰りのリスクを捕捉する流動性規制の導入を骨子とした「バーゼルⅢ *1 」が合意され、日本では2013年3月より順次、適用された。
金融危機を経て「資本の質の向上」(損失吸収力の高い自己資本)の必要性が認識され、「普通株式等Tier1資本(CET1:Common Equity Tier1)」が導入された。CET1の定義には有価証券の含み益・含み損の両方が含まれる。

バーゼルⅢにおける自己資本比率規制
バーゼルⅢ導入後も、リスクの適切な反映と規制の簡素さ・比較可能性を確保すべく、2017年12月、自己資本比率の分母のリスクアセット計測手法に関する見直しについて最終合意された。これは、銀行による内部モデルの利用範囲を一部制限するとともに、標準的手法による資本フロアを導入することで、内部モデルによるリスクアセットの過小評価を抑えることを主眼としていた。この見直しは2022(令和4)年1月から段階的に適用予定であることを踏まえ、当グループでは今後の資本蓄積等により十分対応可能であると見込んだ。なお、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行のもと、当社およびメガバンク3行は早期適用をいったん見送ることとし、2024年3月末に移行した。一方、個別の与信取引ではリスクウェイトが変動する見込みのため、適切な採算管理やポートフォリオ運営を推進した。
また、リーマン・ショックへの対応として始まった国際的な金融規制改革は、上記の自己資本比率規制、流動性規制のほか、ガバナンス・リスク管理強化、市場取引規制、銀行のリスク削減など、すでに多くの規制が実施段階に入りつつあり、当グループは必要な対応を適宜実施した。「お客さま本位」の精神のもと、お客さまの資産を預かる信託銀行として、当グループでは今後の重要規制として、①コンダクトリスク(三井住友信託銀行のリスク文化の改善)、②ファンド・資産運用業者への規制強化(シャドーバンキング規制)、サイバーセキュリティ強化、に着目し、対応を図っていった。