三井住友トラストグループ

第1章

信託制度の確立と発展
1922~1974

第3章

金融激動と業界再編
1991~2010

第1編
第3章 - 金融激動と業界再編 1991~2010

中央三井信託銀行および三井トラスト・ホールディングスの発足

2000(平成12)年4月1日、中央三井信託銀行が発足し、同日から営業を開始する新宿西口投信センターにおいてオープニングセレモニーが行われ、また東京国際フォーラムでは初めての入社式および部店長会議が開催された。

新銀行の社長には三井信託銀行社長の古沢熙一郎(きいちろう)が就任し、6月の株主総会を経て会長に中央信託銀行会長の村本久夫が就任した。

合併に先立つ1月には、新銀行のシンボルマーク、コーポレートカラー、ロゴタイプが発表され、店舗看板の掛け替え作業などが急ピッチで進められた。

経営の方向性については、新銀行の強みとする分野に経営資源を効率的に配分し、効率的かつ競争力に優れた経営体を確立するために、①個人取引(住宅ローンを中心とする個人ローン、投資信託、不動産取引、遺言信託関連業務、中長期を中心とした資金吸収)、②受託資産運用・管理業務、③証券代行業務、④事業会社貸出業務の4業務が重点業務と定められ、あわせて新銀行の経営体質を一段と強化するために、店舗網の再構築および従業員数の削減も打ち出された。本店所在地は、合併時点では中央信託銀行の本店があった東京都中央区京橋であったが、1998年10月に東京都港区芝三丁目において着工した中央信託銀行の新本店ビルが2000年10月に竣工し、12月には中央三井信託銀行本店ビルとして業務を開始した。

また中央三井信託銀行は、信託の専門性をさらに発揮し、高品質のサービスを提供することにより顧客ニーズに的確に対応していくため、2001年6月に三井住友銀行から同社が保有するさくら信託銀行の全株式を取得し、100%子会社とした(2002年2月三井アセット信託銀行に商号変更)。そのうえで2002年2月に三井トラスト・ホールディングス株式会社を設立し、中央三井信託銀行が持つ三井アセット信託銀行の全株式を持株会社に譲渡。持株会社三井トラスト・ホールディングスの傘下に中央三井信託銀行と三井アセット信託銀行の2つの信託銀行が入る形となったのである。

そして同年3月、株式分割の方式を用いて傘下の銀行を再編し、資本増強を行う経営機構改革を実施 *1 。年金信託・証券信託業務を除くすべての業務(リテール信託、バンキング、証券代行、不動産)を担う中央三井信託銀行と、年金信託・証券信託業務を中核とする三井アセット信託銀行が誕生した。次いで、3月から4月にかけて顧客基盤・財務基盤をより強固にする観点から、持株会社が親密な取引先の協力を得て調達した資本を主に中央三井信託銀行の資本増強にあてた。また、特に年金信託・証券信託に特化した三井アセット信託銀行については、大口取引先による資本参画によって顧客ニーズを経営施策に的確かつ迅速に反映させることとした。

この経営機構改革により、三井アセット信託銀行は、日本初の機関投資家向け信託銀行として新発足し、年金信託・証券信託部門がリスク特性の異なる他の業務から切り離されたことで本来持っていた高い競争力が評価され、財務と短期預金では大手行トップ水準、国内信託銀行では最上位の格付を取得した。

なお、2007年10月には、資産運用関連子会社の中央三井アセットマネジメントと中央三井キャピタルを直接出資子会社とするとともに、持株会社および傘下の信託銀行の商号をそれぞれ中央三井トラスト・ホールディングス、中央三井アセット信託銀行に変更し、グループ経営力およびブランド力の強化を図った。

中央三井信託銀行は、2002年3月に持株会社が親密取引先から調達した571億円を原資に資本を増強。三井アセット信託銀行は、親密取引先の資本参画により2002年3月に第1回255億円、同年4月第2回135億円の資本受け入れを実施

2000年10月竣工の中央三井信託銀行新本店ビル(12月業務開始)

2000年10月竣工の中央三井信託銀行新本店ビル(12月業務開始)

経営機構改革の推移

経営機構改革の推移

経営機構改革の推移

経営機構改革の推移
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