- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
コロナ禍への対応
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に際し、当グループは、2020(令和2)年3月27日付で緊急対策本部を設置し、①社員および家族の健康と安全確保、②社会インフラとしての業務継続維持、③社会への感染拡大防止(感染拡大しにくい社会形成への活動を含む)を三本柱と位置づけ、感染防止のために4月の入社式とグループ経営戦略会議の中止を決定した。
4月8日には、政府による緊急事態宣言の発令に伴いBCPⅢ(新種感染症対応プラン) *1 を発動。預金者、委託者からの負託を受けて業務を完遂する責務を負っていることを踏まえ、原則としてフルラインの維持を前提としつつ、在宅と出社のチーム分けによるオペレーション制をとって業務を継続。出社チームにおいても応接室、会議室、研修所などを各部署に割り当て、勤務者を分散させるとともに、時差出勤も活用した。また、フルラインの維持と感染拡大防止のための出社抑制を両立させるため、営業店舗では来店延期を依頼して来店者数を抑制するとともに、飛沫感染防止用のアクリル板を設置。対面を必須としていた住宅ローンの裁定をオンラインにより非対面で取り扱えるようにするなど、各種社内ルールを変更した。なお、開催見送りとした「株主総会議長セミナー」は、2020年4月13日に収録し、Web配信とした。
在宅勤務については、段階的に社内OAにアクセスできる端末の配布を進める一方、情報セキュリティリスクに鑑み、在宅処理が可能な業務の特定と拡大を推進し、9月には概ね整備を完了した。その後は感染防止の巡航化のもと、ニューノーマルにおける業務改革として、社員の働き方や業務プロセス、会議運営の見直しなどに着手し、勤務場所がオフィス、在宅、サテライトオフィスなどに分散するなかで、円滑なコミュニケーションを図るため、ビジネスチャットの導入、課長クラスを対象としたリモートマネジメント研修、オンライン懇親会への会社サポートなどを行った。また、平時とは異なる職場環境等に不安を抱える社員向けに、人事部に「人事コロナ相談窓口」を設置し、在宅勤務・自宅待機のルールや食堂等での感染の不安、育児休暇の延長などのさまざまな相談に対応。産休前の社員約100名、基礎疾患を持つ社員約600名には、業務特性、出社状況、基礎疾患の軽重を確認し、優先的な自宅待機と在宅勤務用の端末配布等を実施した。
なお、当グループは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化することによる事業戦略への悪影響や業務継続が困難となる可能性を考慮し、与信関係費用に関するリスクに対しては、経済環境や内部格付の変動状況等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の拡大による業績への影響度合いや収束後の回復の見通しの程度に応じて仮定を置き、追加的な貸倒引当金(特例引当金)1,000億円を計上した。
当グループの業務継続プラン(BCP)では、発生する可能性の高い被災シナリオを、Ⅰ-1 システム障害、Ⅰ-2 サイバー攻撃、Ⅱ-1 単独拠点被災、Ⅱ-2 広域被災、Ⅲ 新種感染症とし、重要業務および主要業務について、緊急事態発生時の業務継続対応を具体的に取りまとめている。また、緊急事態発生時、最優先に継続すべき業務を「重要」、それに次ぐ業務を「主要」、当面の対応を必要としない業務を「一般」と位置づけ、毎年重要度の見直しを行っている。

アクリル板を設置し、飛沫感染対策を施したオフィス