三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019

業務・ITプロセス改革の推進

2017(平成29)年4月、マーケット事業の将来的なビジネス展開やさまざまな規制強化や制度改定に向けて「マーケットITロードマップ」プロジェクトを遂行。2016 年にバーゼル銀行監督委員会が導入を決定したトレーディング勘定の抜本的見直し(FRTB)をはじめ、外国為替決済のCLS化、国際財務報告基準(IFRS)、信用評価調整(CVA)リスク管理(デリバティブ評価の高度化)などへの対応を進めた。

2018年度には、ITおよび事務に関する統括部署を集約。マーケット事業所管のシステム費(償却ベース)や基盤・アプリの保守期限を可視化し、計画的なシステム集約方針を策定。事務については RPA(Robotic Process Automation)を積極的に導入して定例業務の置換を進め、システムの安定稼働後に創出される戦力をフロント業務などにシフトしていった。

既存商品事務サービスでは、特に複雑化した仕組商品(預金系、貸出系)の商品ラインアップを見直し、営業やリスク管理に要するメンテナンスコストを削減。またバックオフィス業務では、国際的な規制対応や金融工学の知見が要求されるデリバティブ関連業務をフロント業務(ISDA *1 ・CSA *2 関連業務)として再定義し、効率化、高度化を推進した。

また、同年度にはリスクソリューションの強化に向けて開発を進めてきたオープンプラットフォームを「市場運用共創プラットフォーム」としてリリースし、地銀2行から出向者を受け入れ、投資助言サービスの提供を開始したが、大手事業法人に提供した外貨建私募投信の大口解約を受け、残高目標は大幅未達となった。しかし、地銀の運用力向上や人材育成ニーズに応え、直接助言をベースとした付加価値向上の「型」として、コミュニケーション機能を追加し、さらなるソリューションの深耕を目指し、あわせて投資助言ファンド、FXマネージャー機能の強化も推進した。なお、同年度には所管システムの整理・統廃合を通じたITコストの削減、業務・ITプロセス改革の推進による生産性向上を目指し、以下のようにIT戦略3原則を策定した。

〈マーケット事業のIT戦略3原則〉

  1. 自社開発は「差別化領域」「国内固有案件」に限定、業界標準のパッケージ/ASPサービスを徹底活用、グローバル基準のベストプラクティスに基づく業務フローを整備・構築する。
  2. システム基盤は、業務要件の変化・増減等の変動に合わせたサーバースペックの変更が可能かつ効率の高いクラウドサービスを積極活用する。
  3. 他システム連携のインターフェイスは、業務量/即時性の観点から最適な方法を選択、標準インターフェイス、RPAの積極活用など緩やかな相互依存関係により、各システムの拡張性・柔軟性を確保。

ISDA:International Swaps And Derivatives Association(国際スワップ・デリバティブ協会)。デリバティブ取引を行う金融機関により構成される世界的な業界団体であり、デリバティブ市場の推進や発展に努めている。

CSA:Credit Support Annex。店頭デリバティブ取引を行う際に、取引者間で個別に結ぶ担保差し入れ契約のこと。ISDAマスターアグリーメントの付随的な契約とするのが一般的であり、市場動向やリスクに応じて相互に担保資産を差し入れる取り決めをする。これにより、店頭取引に伴うカウンターパーティリスクを低減させる効果がある。

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