- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
業務・ITプロセス改革の推進
2017(平成29)年4月、マーケット事業の将来的なビジネス展開やさまざまな規制強化や制度改定に向けて「マーケットITロードマップ」プロジェクトを遂行。2016 年にバーゼル銀行監督委員会が導入を決定したトレーディング勘定の抜本的見直し(FRTB)をはじめ、外国為替決済のCLS化、国際財務報告基準(IFRS)、信用評価調整(CVA)リスク管理(デリバティブ評価の高度化)などへの対応を進めた。
2018年度には、ITおよび事務に関する統括部署を集約。マーケット事業所管のシステム費(償却ベース)や基盤・アプリの保守期限を可視化し、計画的なシステム集約方針を策定。事務については RPA(Robotic Process Automation)を積極的に導入して定例業務の置換を進め、システムの安定稼働後に創出される戦力をフロント業務などにシフトしていった。
既存商品事務サービスでは、特に複雑化した仕組商品(預金系、貸出系)の商品ラインアップを見直し、営業やリスク管理に要するメンテナンスコストを削減。またバックオフィス業務では、国際的な規制対応や金融工学の知見が要求されるデリバティブ関連業務をフロント業務(ISDA *1 ・CSA *2 関連業務)として再定義し、効率化、高度化を推進した。
また、同年度にはリスクソリューションの強化に向けて開発を進めてきたオープンプラットフォームを「市場運用共創プラットフォーム」としてリリースし、地銀2行から出向者を受け入れ、投資助言サービスの提供を開始したが、大手事業法人に提供した外貨建私募投信の大口解約を受け、残高目標は大幅未達となった。しかし、地銀の運用力向上や人材育成ニーズに応え、直接助言をベースとした付加価値向上の「型」として、コミュニケーション機能を追加し、さらなるソリューションの深耕を目指し、あわせて投資助言ファンド、FXマネージャー機能の強化も推進した。なお、同年度には所管システムの整理・統廃合を通じたITコストの削減、業務・ITプロセス改革の推進による生産性向上を目指し、以下のようにIT戦略3原則を策定した。
〈マーケット事業のIT戦略3原則〉
- 自社開発は「差別化領域」「国内固有案件」に限定、業界標準のパッケージ/ASPサービスを徹底活用、グローバル基準のベストプラクティスに基づく業務フローを整備・構築する。
- システム基盤は、業務要件の変化・増減等の変動に合わせたサーバースペックの変更が可能かつ効率の高いクラウドサービスを積極活用する。
- 他システム連携のインターフェイスは、業務量/即時性の観点から最適な方法を選択、標準インターフェイス、RPAの積極活用など緩やかな相互依存関係により、各システムの拡張性・柔軟性を確保。