三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023

グループ横断による業務改善の推進

当社は2017(平成29)年度からの中期経営計画において、2017年6月に指名委員会等設置会社に移行。次いで2018年10月に三井住友トラスト・アセットマネジメント、2019年6月には三井住友信託銀行および日興アセットマネジメントが監査等委員会設置会社に移行するなど、ガバナンスの高度化を推進した。

そして2020(令和2)年度からの中期経営計画では、9月に内部統制基本方針およびリスク管理規定において三線ディフェンスを明記し、リスクカテゴリーを再整理するなど、グループガバナンスの枠組み整備に取り組んでいたが、議決権行使書の集計過誤事案等の発生を受け、2020年12月、業務プロセスと品質改善の検討を主な目的として、当社にグループ横断業務改善プロジェクトチームを設置。本プロジェクトでは、業務プロセス・品質改善に立ち戻り、共通する根本原因の分析等に取り組むことで自律的な業務品質高度化の評価軸を特定。あわせてコスト構造改革、資源配分最適化とも連携することで構造改革を推進し、実効性あるグループガバナンスの枠組み整備を推進することとした。

業務プロセスと品質改善についてはコンサルティング会社も活用し、事業ごとの主要なバリューチェーンの点検を実施。業務プロセス・品質改善の手順は、第一段階を「顕在化しているリスクの発見・治癒・止血」、第二段階として「潜在的な脆弱性対応による類例発生の予防的な抑止」、第三段階を「脆弱性を自律的に発見・修正する組織づくり、リスク文化定着への反映」とし、まず顕在化しているリスクの手当てを行う一方、お客さまの期待水準を満たしていない業務を洗い出し、130に上る業務から、優先的に対応すべき6業務および各業務に共通する課題の傾向を抽出。共通の評価軸を特定し、類例発生を抑制する解決策を検討した。

優先対応すべき業務には、①手数料等の少量多品種事務、②プライベートエクイティ(非上場株式)業務、③私募販売、④外国為替・デリバティブ等の決済業務、⑤外国送金業務、⑥不動産仲介における重要事項説明・物件調査が挙げられ、共通の評価軸の特定は、リスクガバナンス態勢整備、リソース(質・量)の適否、業務設計(システム・マニュアル)の適否、リスクを統制していく仕組みとPDCAの実効性などの視点を踏まえて実施された。

続いて2021年2月には、ガバナンス態勢の高度化に向けて、「関係会社統括機能強化」「ディフェンスラインの強化」「事務統括機能強化」などの提言がなされ、2021年度には、上記のプロセスを自律的な業務品質高度化のPDCAに反映するための取り組みのなかで、一線(フロント)と二線(管理部門)、三線(内部監査部門)は一体の存在であるとの認識に基づき、「リスクの芽」を可視化・共有化。体質改善を進めるための人材も手当てし、リスクモニタリングも高度化させ、脆弱性の早期発見、未然対応を自律的に行える組織への進化、「リスク文化」の定着を図った。

こうしたなか、三井住友信託銀行では全社員参加型の「リスク文化醸成活動」として、①担当者が日常業務で感じている「不安」を登録、②チーム長以上のマネジメントが登録された不安の重要度等を判定、③チーム長以上と担当者が登録した不安を題材に面談を実施、④本部では全社レベルで見過ごせないリスクが含まれうる不安を抽出し、所管部署にてルール変更等の要否を判断し、具体的な対応を進めた。また、日本株主データサービスでは全社員を対象にアンケートを実施し、「不安な事務」などについて意見を収集。信託銀行のコンプライアンス・リスク管理室が回答への対応を行い、継続実施することで法令上の不安を解消した。プロジェクトは2021年度に一・二・三線一体のPDCA、主要な業務フローの可視化などにめどをつけ、自律的運用段階へと進んだ。

グループ横断業務改善プロジェクト概要図

グループ横断業務改善プロジェクト概要図

グループ横断業務改善プロジェクト概要図

グループ横断業務改善プロジェクト概要図
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