- 第2編
- 終章 - 独立系信託グループとして未来をひらく
Financial Well-beingのリーディングカンパニーとして
近年、各国がFinancial Well-being向上に取り組むなか、日本でも、2024(令和6)年4月に「金融経済教育推進機構(J-FLEC ) *1 」が発足し、ミッションとして「Financial Well-beingの実現」が謳われるなど、金融リテラシー向上の重要性 *2 が高まっている。家計の金融資産は2,000兆円(うち現預金1,000兆円)を超過しており *3 、「個人」が経済循環の発火点として期待されていることは論を俟たない。
2024年度の政府の方針(経済財政運営と改革の基本方針 2024)では、「賃金と物価の好循環」「成長と分配の好循環」を通じて目指す姿として「Well-beingの実現」が位置づけられている。Well-being、なかでもFinancial Well-beingの分野は、企業・社員、社会(個人)における金融リテラシー向上と資産形成支援の推進役として当社が強みを発揮できる領域であり、当グループが目指す「資金・資産・資本の好循環」への重要な道筋となる。金融リテラシーを高めていくことにより、誰もが投資できる「投資の民主化」と、誰もが投資をすることが当たり前となる「投資の社会化」が実現できれば、国民への分配の前提となる経済のパイの拡大が実現し、さらなる好循環が生み出される。そのためにも、当グループは、国民一人ひとりのWell-beingの実現へとつながるFinancial Well-beingの向上に貢献していく。
幅広い年齢層に向け、かつ、国民各々のニーズに応えた金融経済教育の機会を官民一体で全国的に拡充していくことを目的に、金融広報中央委員会(事務局:日本銀行)、全国銀行協会、日本証券業協会を発起人として設立された認可法人。これらの流れに呼応する形で、アカデミアでは、ウェルビーイング学会内に2024年5月にファイナンシャル・ウェルビーイング分科会が発足した。三井住友トラスト・資産のミライ研究所が中心に同分科会の発足メンバーとして参画する等、当グループはFinancial Well-beingの調査・研究を積極的に推進している。
内閣府の「国民生活に関する世論調査」によれば、「何のために働いているか」という問いに対し、「お金を得るために働く」という回答が年々増加する傾向にある。三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査(2023年度)では、年収区分にかかわらず、「金融リテラシー度」が良好なほど「お金を得るために働く」という回答は減少し、「社会の一員として務めを果たすために働く」「自分の才能や能力を発揮するために働く」「生きがいを見つけるために働く」という回答が増加する傾向が示されており、金融リテラシー度アップが、「働き甲斐」、そしてWell-being向上につながることを示唆している。