- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
Topic
金融業界の認知症問題対応力強化への貢献
「認知症」は高齢者に顕著に見られる病気の一つ。アルツハイマー型に代表される認知症になると、脳の機能低下によって記憶・判断力の障害などが起こり、社会生活や対人関係に支障が出る。認知症高齢者の数は2025(令和7)年に約700万人と、65歳以上の高齢者の約5人に1人になると見込まれており、判断能力を顧客に求める金融セクターへの影響は非常に大きいと言わざるを得ない。人々の日常生活を支え、財産管理を担う金融機関の役割は重大であることから、当グループは、認知症問題への対応を自社で進めるだけでなく、業界全体の問題として捉え、専門家とも連携し、以下のように、対応力強化に向けたさまざまな活動を行っている。
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認知症問題の実態調査
2017(平成29)年3月、京都府立医科大学の協力のもと、全営業店部にアンケートを送り、日常業務において認知症に関連し、どのような課題を抱えているかを調査。通帳の頻繁な紛失・再発行依頼など、認知症に起因する問題を抱えていない営業店部は皆無であることが確認された。 -
認知症問題に対応した金融ガイドの発行
京都府立医科大学が主導するCOLTEM *1 プロジェクトの一環で、『実践! 認知症の人にやさしい金融ガイド』(2017年9月発行)のための事例を取りまとめ、執筆陣として、金融機関が抱える認知症に起因する問題を類型化し、医師、弁護士、社会福祉士などが多面的に対応策を紹介。また全国の営業店部に本ガイドを常置し、認知症サポーター養成講座とあわせ社員の認知症リテラシーの向上に活用した。

『実践! 認知症の人にやさしい金融ガイド』
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認知症サポーター養成講座
認知症サポーターの育成を目的に、全国の営業店部で、認知症サポーター養成講座を開催。営業店部では、より実務に即した知識の習得を図るために『実践! 認知症の人にやさしい金融ガイド』を読み合わせ、近隣の地域包括支援センターとの連携なども行っている。 -
21世紀金融行動原則シンポジウム
三井住友信託銀行が座長を務める「21世紀金融行動原則 *2 持続可能な地域支援ワーキンググループ」は、地域社会における認知症問題に対する金融機関の役割をテーマとしたシンポジウムを2015年と2017年の二度にわたって開催した。COLTEMの主要メンバーが参画し、金融ガイドの内容を踏まえた日常業務における認知症対応の実際を議論したほか、成年後見制度や信託を活用した財産管理のあり方などについて活発な議論が行われた。

金融資産全体に占める世代別保有割合