- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
3 コーポレートガバナンス改革とフィデューシャリー・デューティー高度化
ガバナンス改革の沿革
当社は、銀行事業、資産運用・管理事業、不動産事業を融合し、お客さまにとってのトータルソリューションを迅速に提供することにより、独自の付加価値を発揮する事業モデルの高度化や、グループ各社の連携による収益力強化に取り組んできた。同時に、お客さまをはじめ社会からの揺るぎない信頼を確立するためには、信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営の実践が不可欠であるとの認識のもと、コーポレートガバナンスの強化に継続して努めてきた。体制面では、2013(平成25)年6月に取締役10人中社外取締役2人が就任したのち、2015年のコーポレートガバナンス・コードの導入に伴って社外取締役の割合を原則3分の1以上にするとともに、取締役会の諮問機関として、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会と監査委員会を任意に設置した。
こうした取り組みを通じて、社外からは一定の評価が得られたが、残された課題があった。一つは、バーゼル銀行監督委員会「銀行のためのコーポレートガバナンス諸原則」が求めるグローバルスタンダードへの対応であり、もう一つは持株会社・信託銀行の機能、役割の違いを明確化することだった。
バーゼル銀行監督委員会の諸原則では、取締役会の責任明確化や監督機能の強化、リスク委員会の設置、そして内部統制システムの強化が求められた。当グループは、経営統合後の経営効率を追求するために、持株会社の社員全員が、中核子会社である信託銀行の本部職員を兼務する体制をとっていた。持株会社と子会社の社員の兼務は、ガバナンス上、適切とは言いきれない面が残る。実際の運営でも、効率性を求めて、持株会社と子会社の業務を一体的に運営することもあった。こうした課題の存在が認識され、さらなるガバナンス改革に取り組むことになった。