- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
海外資産管理業務(グローバルカストディ)
海外資産管理業務では、米国住友信託銀行(現在の米国三井住友信託銀行)において、対象を国内の機関投資家に特化した形で、外資系大手とは一線を画す高品質なグローバルカストディサービスを展開し、一定の評価を獲得していた。しかし、国内市場の動向を鑑みると、グローバルスタンダードを満たした機能を装備し、海外で通用する資産管理グループとなり、ビジネスの間口を広げる必要があった。
2012(平成24)年度には、三井住友信託銀行発足により、中央三井アセット信託銀行が受託する対外投資資産の米国三井住友信託銀行への移管を進め、加えて同年度から新設された「外国銀行業務代理」を活用したカストディ受託残高の拡大を図るとともに、中長期的には新たなビジネスエリアの開拓に向けてファンドアドミ *1 機能を装備するための方策を検討した。
2012年6月、大和証券グループ本社の100%子会社であるDaiwa Securities Trust & Banking (Europe) PLC(DSTBE *2 )およびDaiwa Securities Trust Europe Limited(DSTEL *3 )の発行済株式の100%を関係当局の認可を前提に取得することについて、三井住友信託銀行が大和証券グループ本社と株式譲渡契約書を締結し、同年11月に株式取得を完了した。
DSTBEは、英国を中心に、主として大和証券グループ会社向けのカストディ業務を行っており、DSTELはアイルランドの資産管理持株会社で、グループ会社を通じて主に海外ヘッジファンド向けのファンド管理業務、トラスティ業務を行っていた。当グループは、この株式取得を機に、従来から行ってきた日本の顧客向けを中心としたグローバルカストディ業務に加え、外国籍ファンド管理業務に新たに進出し、海外における総合的な海外資産管理サービス(Global Asset Services)を提供していくこととなった *4 。
しかし、こうして発足したSumitomo Mitsui Trust (UK) Limitedは銀行免許を持っていなかったため、資金・為替収益等の付随的な収益源を有しておらず、為替等の機能を同一法人にて提供する競合他社と比較すると収益力で不利な面があった。加えて、英国での金融業に対する規制が強化される方向も踏まえ、同社を三井住友信託銀行のロンドン支店に統合し、資産管理ユニットとして事業を行っていくことを企図し、2020(令和2)年3月に組織再編を実施した。
Fund administrator の略称。ファンドのバックオフィス機能(資産価格の評価、純資産額、基準価額の算出など)を担う。
1986年設立、ロンドンに所在。資本金は2,499万9,000ポンド(約30億5,300万円)。2012年3月期(連結)の総資産4,905万1,000ポンド(約59億9,100万円)、カストディ残高302億8,900万米ドル(約2兆3,910億円)
2004年6月設立、ダブリンに所在。資本金は1,500万ユーロ(約14億6,400万円)。2012年3月期(連結)の総資産1,948万3,000ユーロ(約19億100万円)、ファンド管理残高212億9,200万米ドル(約1兆6,808億円)
DSTBEはSumitomo Mitsui Trust (UK) Limited、DSTELはSumitomo Mitsui Trust (Ireland) Limitedの法人名でそれぞれ英国、アイルランドで登記

新たに加わった海外資産管理会社