- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
3 事業領域拡大に向けた取り組み
事業モデル変革とグループ連携の推進
当グループは「リテール化」「グローバル化」をキーワードとしてトータルソリューション力の強化を推進する一方、2013(平成25)年度の「見直し計画」以降は、独自の事業モデルの構築に向けて、横断型事業である「プライベートバンキング事業」と「法人資産運用事業」を事業領域として抽出し、重点化を図った。さらに2014年度には職域を「福利厚生ソリューション」と位置づけ(2016年度に「職域ビジネス」として事業領域化)、2015年度には「アセットマネジメント化」という概念を加えた *1 。
横断型事業領域 *2 を拡大するには、専業信託銀行として培ってきた独自の機能に加えて、グループ各事業の連携、ノウハウの共有が必要であった。例えばファンドの組成では、マーケット事業部門が商品を開発、受託事業部門がそのノウハウを活用して編成・有効性を検証、グループ運用会社がポジションコントロールとリスク管理を担い、さらに本部と営業店部が連携し、コンサルティングノウハウの浸透・徹底を図った *3 。
リテール事業において、当グループの優位性は富裕層の厚みであるが、高齢化、次世代基盤の開拓が課題となっていた。そこで、職域活動・確定拠出年金先などの新規顧客開拓(リテール顧客化)を強化するとともに、「信託型プライベートバンキング戦略」として、事業法人、非営利法人、取引先の役員などに対し、経営と個人資産の両面に向けた投融資案件ソーシングを拡大し、トータルソリューション力を強化した。
また、法人資産運用事業を当グループの収益構造を転換するための推進エンジンと位置づけ、グループ一体のソーシング力、ストラクチャリング力、プレースメント(金融法人等のグリップ、セミナー等を通じた基盤開拓)力の3つのパワーによるオフバランスAUM(運用資産残高)の拡大を加速。地域金融機関等における資金運用から経営・財務にわたる広範な課題に対し、当グループの有する運用商品会計ノウハウ、ALM *4 ・リスク管理ノウハウ、情報プロセッシングなどを活用した「経営管理・財務戦略ソリューション」を提供するため、クレジット・ポートフォリオ・マネジメント機能を強化した。
このように横断型事業では、グループ総合力を発揮し、グループワンストップで多様な領域を有機的につなぐことにより、さらなる連結収益の拡大を図ったのである。
また、2015年度には、お客さまの利益と持続可能性の両面から、ストックへとつながるフローアプローチに重点を切り替え、残高の積み上げによるストック収益増大を目指した。そして、こうした戦略の結果、幅広いお客さまから保有資産(アセット)に関する相談が増加したことを受け、「アセットマネジメント化」を重点ソリューションとし、コア業務である資産運用・管理施策を高度化して、他社との圧倒的差別化とブランド確立を目指した。