- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
厚生年金基金の廃止
厚生年金基金は1966(昭和41)年10月から始まった企業年金制度の一つで、企業が厚生年金基金を設立して、国が支給する老齢厚生年金の報酬比例部分を代行して給付し、さらに独自の年金を上乗せして給付を行う仕組みとなっていた。しかし、バブル経済崩壊で資産の運用状況が悪化し財政難となり、老齢厚生年金の代行給付をするのに必要な額を確保できない(=代行割れ)基金が続出した。加えて、2012(平成24)年2月、証券取引等監視委員会の検査により、AIJ投資顧問が顧客から預かっていた年金資産の運用に失敗したにもかかわらず、虚偽の報告書を顧客ならびに当局に提出していたことが判明。厚生労働省が公表した資料では、2010年度末時点で84基金、1,852.6億円を運用委託しており、その運用資産の大半が消失したことで、委託した基金の多くは積立不足が拡大する状況に陥った。
これがきっかけとなり、2014年4月、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が施行された。そのときに見直された内容は、次のとおりだった。
- 施行日以後は厚生年金基金の新設を認めない
- 施行日から5年経過後は基準を満たさない基金は解散命令を発令する
- 厚生年金基金から他の企業年金への移行を促進する
すなわち、法改正により厚生年金基金は実質廃止の方針が示された。