- 第1編
- 第3章 - 金融激動と業界再編 1991~2010
株券の電子化と日本株主データサービスの設立
中央三井信託銀行は、2009(平成21)年の株券電子化実施を前に、みずほ信託銀行との折半出資で2008年4月に日本株主データサービス株式会社を設立した。
信託会社は上場企業と契約し、株式の名義書換や株主名簿の管理などを代行することによって手数料を得てきたため、特に証券代行を祖業とし、上場企業の約25%から業務を受託していた中央三井信託銀行にとって、株券の電子化は、即減収につながる大きな問題であった。そこで中央三井信託銀行は2005年3月に代行専門会社である東京証券代行を買収してシェアの拡大を図り、次に業界標準となる共同事務センターを新設してノウハウやスケールメリットを生かした高水準のサービスを提供していくことで、新たな収益源とすることを狙ったのである。
こうして日本株主データサービスは、2009年1月、中央三井信託銀行とその子会社の東京証券代行、みずほ信託銀行の証券代行業務を受託し、株券電子化の開始とともに営業を開始し、専門性・効率性を軸にコンサルティングを中心とした営業を展開し、従来の証券代行業務に加えて関連システムの開発および運営も担った。
一方、住友信託銀行は、日本証券代行と合弁で証券代行事務およびシステム開発会社として日本TAソリューション株式会社(現在の三井住友トラストTAソリューション株式会社)を設立し、2002年9月に事業を開始している。