- 第２編
- 第３章 - 新たな社会課題への対応 2020～2023
日興アセットマネジメントの動向
〔1〕「日本に本社を置くグローバルな運用会社」への成長
日興アセットマネジメント（NAM）は、世界11カ国の拠点ネットワーク（JVを含む）と、それらを積極的に活用したユニークな商品開発力や販売会社へのサポートなどの強みを生かし、お客さまに革新的な商品やサービスを提供している。例えば、英国エジンバラの拠点で運用するグローバル株式戦略では、ベンチマークにとらわれない少数銘柄への厳選投資を武器に、日本を含む世界各国の機関投資家、個人投資家に提供。シンガポールの拠点では、株式から債券、マルチアセットまで幅広い運用ケイパビリティを有し、多様なニーズへのきめ細かい対応力を背景に、現地や近隣アジア諸国の投資家のみならず、日本の投資家にも商品を提供した。NAMは欧州、アジア・オセアニア、米州と世界各国に運用拠点、営業拠点を有するグローバルな運用会社として成長を遂げてきた。
また、グローバル市場において資産運用会社にスチュワードシップ活動の高度化やESG投資への取り組みの深化が求められるなかで、NAMは「グローバルな運用会社」としてそれらへの施策の強化も進めた。一部の国内株式アクティブファンドをEUのサステナブルファイナンス開示規則（通称 SFDR／2021年３月運用開始）に基づく８条ファンド *１ として新たに申請を行うなど、ESG課題の解決に資する運用商品を提供。さらにシンガポールを中核拠点として、東京、英国ロンドンを加えたNAM各拠点のプロフェッショナルからなるグローバル横断組織として「グローバル・サステナブル・インベストメント・チーム」を組成するなど、ESGインテグレーションやスチュワードシップに関する人材を拡充するのみならず、ESGデータ分析やESG規制対応などの機能を強化し、ESG領域におけるグローバル水準の高度な専門性を整備した。
そして、スチュワードシップ活動においても、NAMグループは世界最高水準といわれる英国スチュワードシップ・コード2020の署名機関として、2022（令和４）年にアジアを拠点とする資産運用会社として初めて承認され、以降2024年まで３年にわたって承認を受けた。
〔2〕インオーガニック成長への取り組み
NAMは、2022（令和４）年にグローバル成長戦略を策定し、既存ビジネス成長へ向けた施策（オーガニック成長戦略）と新たなケイパビリティの獲得に向けた施策（インオーガニック成長戦略）を同時に進めた。施策を通じて投資戦略の分散化と顧客基盤の分散化を図り、特定のプロダクトや地域・チャネルへのAUM（運用資産残高）の偏在を解消し、商品と地域の多様性を進めて収益の大幅向上と安定性の向上を目指した。
インオーガニック成長戦略では、NAMビジネスの推進を補完するケイパビリティとして、米国をはじめとした地域の「販売ケイパビリティ」、プライベートアセット等の「運用ケイパビリティ」の領域でそれぞれ戦略的パートナーの探索・獲得を検討。その一つとして、資源効率性に特化した英国の資産運用会社Osmosis (Holdings) Limited（オズモシス社）と資本出資を含む戦略的パートナーシップを2023年11月に締結した。
こうしてNAMグループは、アジア太平洋地域（オーストラリア、ニュージーランドを除く）および中東地域において、オズモシス社の独占的な販売代理人として同社商品の販売やクライアントサービスを展開することとなり、投資家の潜在需要が大きく、高品質な商品への選別が進むESG・サステナビリティ領域において良質なケイパビリティを獲得し、グローバルでのプロダクト販売を進めた。
また、オズモシス社との戦略的パートナーシップはNAMだけではなく、三井住友トラスト・アセットマネジメント（SMTAM）も含めた三者によるものであり、SMTAMはオズモシス社の運用戦略とSMTAMの運用ノウハウを融合して運用戦略の高度化を進め、国内外の幅広い投資家に対する優れた投資機会の提供を目指した。
日興アセットマネジメントのグローバル展開と戦略的パートナー