- 第1編
- 第1章 - 信託制度の確立と発展 1922~1974
Column
信託6社合同駐在員事務所の開設
1971(昭和46)年12月、世界の金融の中心地・ウォール街に信託銀行6社(三井、三菱、住友、安田、東洋、中央)合同のニューヨーク駐在員事務所JAPAN TRUST BANKSがオープンした。共通の受付が置かれ、その奥に約50㎡の各社個室を配置。会議室、コピー室、書庫なども共同である。国際間取引の進展に向けた情報収集や連絡交渉を目的に、大蔵省からの内示によって合同で設置することになったもので、家具備品類も共同発注により調達した。
日本の信託銀行が大挙して進出したことは米国で大いに注目され、オープンに先立って11月に開催された開設披露レセプションには、米国金融界の名士が多数列席。日米で500人を超える来賓を迎え、盛況であった。「TRUST」は現地でファンドを意味していたため、当初は毎日のようにアプローチを受けて苦労したという。
初期の主な業務は連邦税、州税、市税の絡む経費会計関係や合同健康保険組合の創設などの庶務事項であったため、合同業務が大勢を占めたが、4月以降は米国の金融機関や日系企業との取引などが中心となり、個別に業務が進められるようになっていった。
なお、三井信託銀行は翌1972年10月に単独でロンドン駐在員事務所を開設している。

合同駐在員事務所開設の新聞広告(1971年12月1日)