- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
新たな組織体制
三井住友信託銀行は、これまで以上にお客さまにトータルなソリューションを迅速に提供する専門性と総合力を併せ持った信託銀行として一層の飛躍を図るべく、次の区分に基づいた組織体制を構築した。
- リテール事業・ホールセール事業・証券代行事業・不動産事業・受託事業・マーケット事業の6つの事業からなる「事業分野」
- 各事業分野を横断的に管理・統括する「経営管理分野」
- 投融資を審査・管理する「投融資管理分野」
- 本店営業部・各支店等で構成される「営業拠点」
また、お客さまとの接点のウェイトが高く、かつ業務関連性の強い事業であるリテール事業・ホールセール事業・不動産事業・証券代行事業と営業拠点を統括する枠組みとして「顧客営業ディビジョン *1 」を設置した。
なお、三井住友信託銀行の発足に伴い、中央三井信託銀行、中央三井アセット信託銀行、住友信託銀行の子会社についても2012年4月に再編・商号の変更を行った。

主なグループ関係会社の再編
三井住友信託銀行の発足にあたって
~会長・社長からの社員へのメッセージ(グループ社内報「Future Bloom」第4号より)~
ついに三井住友信託銀行が誕生し、我々は新たな歴史の幕開けを迎えました。
開業初日に、ATMを利用した一部の取引に不具合は発生しましたが、それ以外は大きな問題もなく開業するに至り、統合作業については全般的に概ね順調に推移したと考えています。
昨年4月の経営統合以降、「実質ワンバンク」として各種施策に全社で取り組み、社内の一体感の醸成も加速しておりましたが、新銀行誕生で名実ともに完全一体化が実現しました。
ここに、我が国大手金融グループの一角として競合他社と互角に戦っていける事業基盤や経営資源を備え、将来のさらなる成長ポテンシャルを有する銀行をつくることができたのは、皆さん一人一人の奮闘の賜であり、心から感謝の意を表したいと思います。
新銀行は、今回の合併により信託業界最大手に躍り出て、そのプレゼンスが飛躍的に向上しました。しかしながら、厳しい見方をすれば、我が国にかつてない全く新しいビジネスモデルを有する「The Trust Bank」の実現に向け、我々は単にその出発点に立ったに過ぎず、これからが正に本番となります。競合先からの攻勢が一層激しさを増すなか、社内の融合・結束は言うまでもなく、統合効果の発現に向けて、スピード感あふれる施策実践を通じ、一気呵成に突き進んでいく必要があります。
その際、我々の足元を照らし導いてくれるのは、「目に見える実績」と「お客さまからの評価」です。収益環境厳しきなかでも確実にしぶとく実績を積み上げることは、新銀行の目指す方向性や事業モデルの正しさを世に示す証左となります。また、お客さまからの評価は、「信託らしい」「三井住友信託銀行ならでは」の独自付加価値を提供してこそ得られるものだと言えます。
なお、コンプライアンス・リスク管理も我々に課せられた公共的役割・社会的使命を果たすうえでは不可欠であり、統合により一段と高いレベルの姿勢が求められることを全員で共有しておく必要があります。「目に見える実績」と「お客さまからの評価」、そして、これらを支える「コンプライアンス・リスク管理」の「2プラス1」のベストバランスを追求することが、「The Trust Bank」実現の唯一の手立てとなります。
国内外で社会・経済情勢の不透明な状況が続くなか、お客さまが抱える課題はますます高度化・複雑化しており、我々信託銀行が果たすべき役割は拡大しています。これまで幾度となく「信託の時代」の到来が期待されてきたものの、いまだ成就されたとは言えません。裏を返せば、それだけ我々信託銀行には成長分野が残されているということです。我が国の金融業界において、こうしたチャンスに恵まれているのも、また、お客さま・市場からの注目がいまだに高まり続けているのも、信託をおいて他にはないと考えています。
我々はこの絶好の機会に幸いにも新銀行誕生を間に合わせることができました。目の前に敷かれたレールはなく幾多の苦難が予想されますが、厳しい現実を直視する謙虚さを失うことなく、我々一人一人が創業者として未来志向で挑戦を続け、「信託の時代」を見事手中に収めたいと思います。
三井住友トラスト・グループのシンボルマーク「Future Bloom(未来の開花)」の名のごとく、お客さま・社会の未来に、より多くの花を咲かせることができるよう、役員・社員一同、心を一つに歩んでいきましょう。
2012年4月
取締役会長 北村 邦太郎
取締役社長 常陰 均