- 第2編
- 第3章 - 新たな社会課題への対応 2020~2023
テクノロジー・ベースド・ファイナンス
世界各国が脱炭素宣言を行うなか、日本政府も2020(令和2)年10月、2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言した。カーボンニュートラルを実現するためには莫大な資金が必要になるとともに、革新的な技術が鍵となる。当グループは、最新の技術を理解し、信託機能を生かしたファイナンスなどを通じて、カーボンニュートラルに主体的に関わっていくためには、科学的知見を有し、能動的な取り組みを担う組織を内製化する必要があると考えた。
そこで2021年4月、技術の社会実装を金融的側面から支援することを目的に、信託銀行のサステナビリティ推進部内にテクノロジー・ベースド・ファイナンス(TBF)チームを立ち上げ、脱炭素社会の実現、自然共生社会の構築に向けて、まずは水素、蓄電池、有機化学、無機化学それぞれの分野で理学、工学博士号や修士号を持つ研究者や専門家をチームアップ。メンバーの知見をインパクト評価のプロセスに織り込み、革新的な技術を社会実装することで、ポジティブなインパクトを促進し、ネガティブなインパクトを抑制する取り組みを加速。同チームの活動は、当社のみならず金融界にとっても新しいチャレンジとなったが、既存技術の応用、新規技術の開発あるいはそれらの組み合わせによって、環境問題、社会問題を解決する、社会システムの構築を目指している。
なお、技術の社会実装のためには技術、政策、金融の融合が重要であり、TBFチームは技術起点のインパクト投融資の取り組みやインパクトビジネスの創出以外にも、さまざまなステークホルダーとの連携を進めた。大学や企業との共同研究、アカデミアとの交流をはじめ、省庁への政策提言、各省庁の政策と連携した実証事業やモデル事業の立ち上げ、ESG地域金融による地域支援、自治体や地方銀行との金融スキーム開発など、同チームの関与する範囲は拡大している。

テクノロジー・ベースド・ファイナンスの体制

テクノロジー・ベースド・ファイナンス主要プロジェクト一覧