- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
日興アセットマネジメントの動向
〔1〕アーク・インベストメントとの協業
日興アセットマネジメント(NAM)は、世界11カ国の拠点(JVを含む)にネットワークを有し、それらを積極的に活用したユニークな商品開発力や販売会社から評価の高い販売サポート等の強みを生かし、幅広いお客さまの多様なニーズに対応した運用・商品を提供することにより、資産運用残高を拡大してきた。この時期にも引き続き、お客さまの利益最大化に資するべく、その強みに磨きをかけるとともに、運用力・商品開発力を生かした新たなプロダクトの投入を進めた。
2017(平成29)年8月には、破壊的イノベーション *1 分野の株式運用に特化した新興の資産運用会社であった米国のアーク・インベストメント・マネジメント(ARK Investment Management LLC)に出資。同社は、業種横断的なテーマごとに組織されたアナリストが、各テーマに精通した社外アドバイザーを交えて分析・調査するオープン・リサーチ・エコシステムと呼ばれるプロセスで投資対象企業を選別し、超過収益の獲得を図るユニークな運用を行っていた。
NAMは、銘柄選択にあたってアークから助言を受ける初めてのコラボレーションファンド「グローバル・フィンテック株式ファンド」を2016年12月に設定した。新たな金融ニーズの高まりとテクノロジーの急速な進歩を捉えるとともに、アークのユニークな運用プロセスが注目され、ファンド設定から1年足らずの2017年9月末には純資産総額が1,000億円を超えた。その後もアークとコラボレーションした複数のファンドを設定し、アークのリサーチプロセスと時機を捉えた投資テーマによる基準価額の上昇もあり、関連ファンドの残高は2021(令和3)年には合計で3兆円超に達し、NAMの旗艦ファンドとして、成長を牽引した。

運用資産残高の推移
〔2〕ETFビジネスの拡大
NAMは、2001(平成13)年7月に国内初の上場投資信託(ETF)を東京証券取引所に上場して以来、国内で機関投資家や個人投資家向けのETFビジネスを推進してきた。2017年9月にはNAM100%出資の子会社として日本インスティテューショナル証券株式会社を設立(2018年11月営業開始)。地域金融機関の自己勘定運用に対してETFの営業活動を強化するなど、NAMグループの多様な運用ソリューションと広範な地域金融機関とのネットワークを生かしたビジネスの拡大も目指した。また、2017年3月には、日興アセットマネジメント アジア リミテッドが海外市場でもETFを上場した。シンガポール、香港市場でのビジネス展開を進め、海外ETF残高を拡大させるとともに、アジアの有力金融専門誌「The Asset」が主催する「トリプルAアワード2022」において、「最優秀ETF運用会社(シンガポール)」を受賞するなど、外部からも高い評価を得た。
さらに、日銀が金融緩和策の一環として2010年12月に東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価(日経225)を対象とする上場投資信託(ETF)の買い入れを開始したことは *2 、NAMのETFビジネス拡大の追い風となった。2013年公表の「異次元金融緩和」では、買い入れ枠は年々増額され、購入対象ファンドも2014年にJPX日経400ETF、2016年には設備・人材投資ETFが追加された。2023年(令和5年)3月時点で国内外のETF残高は約12.8兆円とNAMのAUM拡大の一翼を担った。
〈日銀の買い入れ対象となったNAMのETF (2016年度)〉
- 東証株価指数(TOPIX)に連動するETF
- 上場インデックスファンドTOPIX(2002年上場)
- 日経平均株価に連動するETF
- 上場インデックスファンド225(2001年上場)
- 上場インデックスファンド日経225ミニ(2013年上場)
- JPX日経インデックス400に連動するETF
- 上場インデックスファンドJPX日経インデックス400(2014年上場)
- 設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF
- 上場インデックスファンド日本経済貢献株 (2016年上場)