三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019

責任銀行原則(PRB)とSDGs

金融機関への気候関連リスク等の影響が大きくなれば、規制当局もその影響を考慮する必要が生じるため、将来的な規制・監督の要否を含めて検討が進められてきた。2017(平成29)年12月、中央銀行の有志および金融監督当局の国際的なネットワークとして、「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」が設立された。次いで2019年4月には、中央銀行・金融監督当局・政策立案者に対し、TCFD提言に基づく開示の促進を含む報告書を公表した。

こうした公的な議論を実行に移すにあたって、民間金融機関との連携は不可欠であった。その代表として、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が挙げられる *1 。TCFD提言が推奨する気候変動シナリオ分析に関する課題解決のため、世界の大手金融機関やコンサルティング会社と連携して分析手法の開発を進めているほか、2019(令和元)年9月には、銀行の事業戦略およびその実践を、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や気候変動に関するパリ協定等に示されている社会的目標と整合性を持たせるための責任銀行原則(PRB:Principles for Responsible Banking)が策定された。これにより、責任投資原則(PRI)および持続可能な保険原則(PSI)とともに金融三原則が出そろったことになる。

PRBは6つの原則からなるが、最大の特徴は、原則1にあるとおり、SDGsとパリ協定という2つの国際協定を指針としている点にあった。PRBに署名を行うことで、銀行として果たすべき役割や責任を明確にし、その実現のための目標を設定・公表し、進捗状況を定期的に公表することが求められた。

PRBの発効より前の2019年1月に支持を表明した当社は、同年9月、SDGsおよび気候変動に関するパリ協定と整合性をもって戦略的に事業を行うために最大限の努力をすることを表明し、PRBの発足署名機関となった。

なお、三井住友信託銀行は、「高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ *2 」の8つの優先項目 *3 設定に賛同し、人生100年時代とも呼ばれる長寿社会における諸課題に積極的に取り組んでいくことを表明した。

UNEP FIは、国連環境計画(UNEP)と200以上の世界各地の銀行・保険・証券会社等とのパートナーシップであり、1992年の発足以来、金融機関、政策者、規制当局と連携し、経済的発展とESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めている。

「金融包摂のためのグローバルパートナーシップ(GPFI:Global Partnership for Financial Inclusion)」と経済協力開発機構(OECD)がG20議長国のために共同で策定し、2019年6月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議において承認された。

①カスタマイズしよう:高齢者の多様なニーズへの対応、②高齢者を守ろう:高齢者への経済的虐待や詐欺への対応、③生涯にわたるファイナンシャルプランニングをサポートしよう、④みんなで連携しよう:分野横断のアプローチ、⑤デジタルと金融リテラシーを強化しよう、⑥イノベーションを進めよう:包摂的なテクノロジーの活用、⑦特に重要となる対象:障がいをはじめとする脆弱性への対応、⑧データとエビデンスを活用しよう(主に政策当局向けの優先項目)

責任銀行原則(PRB)の6つの原則

責任銀行原則(PRB)の6つの原則

責任銀行原則(PRB)の6つの原則

責任銀行原則(PRB)の6つの原則
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