- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
循環モデルの構築へ
日本社会の高齢化・成熟化に伴い、個人のお客さまの資産運用・管理に関する課題は一層高度化・複雑化しているが、リテール事業では、全国に展開する店舗ネットワーク、三井住友信託ダイレクトなどにおけるコンサルティングを通じてトータルソリューションで応えている。2010年代の前半には投資信託、生命保険などの販売業務に注力し、投資一任運用商品(ラップ口座)を中心とした「長期・分散・安定」、「コア&サテライト」運用を重視するコンサルティング営業スタイルに磨きをかけるとともに、相続・資産承継関連商品の拡充や新規出店などによるサービス向上を進めた。
当グループは、税制改正や高齢化などの外部環境の変動と統合後の進捗を踏まえ、2013(平成25)年度を「相続・承継ニーズ沸騰元年」と位置づけて、それまでの収益の三本柱「受信」「与信」「投資運用コンサルティング」に「相続」「不動産」を加え、「収益の五大領域」とし、クロスセルを強化。取引循環・世代循環の概念を明確化、具体化していく方針を掲げた。また、プライベートバンキングを事業領域化した。
2014年度には、新たに「取引循環・世代循環モデルの構築・強化」を目指す姿とした。 資産・負債、家族・個人の歴史といった背景に着目し、「残高×年齢×商品の3軸アプローチ」の考え方を導入。プロダクト主導から顧客ニーズ主導のビジネスモデルに発展させ、「現時点で必要な取引」としての納得感が取引の連鎖となっていくことを目指した。
また、チャネル戦略として、①店舗立地・マーケットなどを勘案した「最適店舗配置」、②非管理顧客と資産形成層向け「非対面チャネル」(インターネットバンキング、テレホンバンキング)の強化を推進。さらに、資産形成層へのアプローチ強化を目的とする「福利厚生ソリューションプロジェクトチーム」を立ち上げて職域の事業領域化を展望するなど、収益極大化策を実践した。