三井住友トラストグループ

第1章

専業信託銀行グループとしての挑戦
2011~2016

第4節 グループ総合力の発揮

第2章

The Trust Bankへの進化――
「第2の創業」 2017~2019

第2節 ビジネスモデルとガバナンスの変革

第3節 トータルソリューションの追求

第3章

新たな社会課題への対応
2020~2023

第2節 社会的価値創出と経済的価値創出の両立

第3節 新たな付加価値の創造

第4節 Well-beingの好循環を目指して

第2編
第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016

2つの事業領域

〔1〕プライベートバンキング事業の立ち上げ

企業経営者のお客さまが持つ企業経営と個人資産に関するニーズに対し、当グループの持つ銀行・信託・不動産等の各機能を生かしたトータルソリューションを提供するのがプライベートバンキング(PB)である。経営統合後の新銀行における富裕層施策として、住友信託銀行での取り組みを軸に、収益性の高い預かり残高5億円以上・10億円以上へのランクアップ施策、クロスセル施策展開に舵を切った。初めは預かり残高による顧客セグメントに基づいて、PB業務をリテール事業の富裕層ビジネスにおける重点項目と位置づけ、総合コンサルティングを標榜した取り組みを行ったが、実際には運用商品の提供に注力する傾向が強く、顧客セグメント・顧客属性に着目した営業展開までには至らなかった。

一方、税制改正等の環境変化に伴う相続・承継ビジネスへの関心の高まりに加え、メガバンクへのカウンター策整備の観点から、富裕層ビジネスでは、顧客属性により着目した事業間連携でのアプローチ強化が重要になった。そのため、信託銀行として富裕層ビジネスでのマーケットにおける存在感を発揮すべく、2013(平成25)年度に企業オーナーを中心に四大属性先(企業オーナー、開業医、企業役員、地主)をターゲット顧客とするPB事業領域を立ち上げ、リテール事業のみならず、ホールセール事業等との事業間連携を図り、多様なビジネス機会を全社ベースで取り組んでいくこととしたのである。

PB事業では、専業信託銀行ならではの「貸出、承継、不動産、運用」を組み合わせ、承継提案を起点とした「四位一体」の総合コンサルティングをホールセール事業と一体で展開した。なかでも事業主と富裕層という2つの性格を持つ企業オーナーに対しては、法人取引・個人取引の両起点からアプローチ。法人取引では、企業の成長ステージに応じ、創業期にはIPO支援、安定・拡大期には資産運用・管理や本業支援、事業・資産承継などに対応し、個人取引では、富裕層ビジネスを通じて培ってきたネットワークを生かし、不動産仲介や相続をはじめとする高度なサービスを提供し、企業オーナーの幅広いニーズに応えた。なお、担い手の観点では、企業オーナーと開業医向けを事業承継・資産承継の分野に対応するPB部が担当。企業役員・地主は、店部の財務コンサルタントがPB部兼務で担い、PB部がホールセール事業とリテール事業の連携をサポートする体制をとった。

〔2〕職域戦略の深耕

取引先の従業員を対象とする職域マーケットについては、1970年代以来、財産形成信託等の形でサービスを提供しているが、1990年代後半ごろから戦略商品を拡充し、いち早くインターネットバンクサービスを開始するなど *1 、マーケット拡大を推進していた。新会社では、少子高齢化の進展に伴う顧客数の減少という構造的課題への対応の一環として職域戦略を強化。職域の深耕は、勤労世代から退職前までの幅広い世代に長期間にわたるアプローチができるため、リテール顧客基盤拡充の有効な手段と考えられた。

そこで、法人顧客への福利厚生ソリューション(積立貯蓄、財形、平準払い保険、住宅ローン、確定拠出年金〈DC〉など)の展開施策にあわせて、「リテール顧客化」を推進。事業間連携事業と位置づけ、①各種制度の導入、②職域顧客化(加入・利用の促進)、③三井住友信託銀行との取引拡大(リテール顧客化)の流れで事業活動を展開し、特に②と③の循環的拡大を図ることとした。なかでも「退職」については、家計・資産の見直しニーズが顕在化しやすいタイミングであり、顧客企業への職域活性化提案や、企業年金の知見を生かしたコンサルティング提案を強化した。

2016(平成28)年4月には「ライフアドバイザリー部」を新設。福利厚生ソリューションプロジェクトチームは「職域ビジネス」として事業領域へと発展した。職域ビジネスでは、業界トップのDC顧客基盤を生かし、DC投資教育やライフプランセミナー等を起点とした対応を加速。さらに2017年1月には、DCとの一体型プランとして職場つみたてNISAの提供を開始、あわせて職域向けポータルサイト「LIFE GUIDE」をライフイベント関連の情報提供サイトとして再構築。インターネットバンキングとの連携により資産・負債のトータル管理機能を備え、お客さまのライフプランサポートに関する機能強化を図った。

2000年6月、テレフォンバンクサービスにインターネットバンクサービスを加えた「住友信託ダイレクト」を開始

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