- 第1編
- 第3章 - 金融激動と業界再編 1991~2010
オーダーメイド型「安心サポート信託」と「生命保険信託」の開発
中央三井信託銀行は、高齢化・核家族化の進展に伴う財産の管理・保全・承継に対するニーズの高まりに応えるため、2004(平成16)年4月から財産の管理・保全を主目的とするオーダーメイド型の信託商品「安心サポート信託」の取り扱いを開始した。個人向け信託商品で初めて本人以外の受益者の指定を可能とし、また遺言信託を組み合わせることにより相続開始後に財産の保全・管理を始められるなど、多様なニーズに応えた商品である。具体的には、孫世代への学資の確実な提供や、顧客自身が財産管理能力を喪失した場合に備えての有料老人ホームの利用料支払い手段の確保といったケースで活用されている。
2010年7月には、プルデンシャル生命保険と共同で、生命保険契約に基づく死亡保険金請求権を信託財産とする信託商品「安心サポート信託(生命保険信託型)」を開発した。信託の柔軟な財産交付機能を付加した生命保険信託の商品化、および生命保険会社による信託契約代理店としての信託商品の紹介は、いずれも国内初であった。
安心サポート信託(生命保険信託型)は、生命保険の契約者(委託者)との信託契約により、死亡保険金請求権を当初信託財産として受け入れ、その後の保険事故の発生によって中央三井信託銀行(受託者)が受領する死亡保険金を合同運用指定金銭信託(一般口)にて管理・運用し、保険契約者の家族や親族など(受益者)に交付するものである *1 。信託の財産交付機能を活用することにより、財産管理に不安のある家族や親族などのために、財産を確実に管理・保全しながら、生活資金や学費などを受け取ることができるようにしたいというような具体的なニーズにきめ細かく応えることが可能となり、その後広く活用されている。