- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
管理・承継型商品・サービスの隆盛
〔1〕教育資金贈与信託と家族おもいやり信託
2013(平成25)年度税制改正では、相続税の基礎控除引き下げ、税率構造の見直しに加えて教育資金の一括贈与の際の贈与税の非課税措置などが盛り込まれ(2015年1月実施)、資産承継ニーズが高まった。これを受けて、当グループでは2013年1月以降、税制改正セミナーを開催するとともに、信託機能を生かした商品・サービスの開発・提供に努めた。
2013年4月には新信託商品「教育資金贈与信託(愛称:孫への想い)」の取り扱いを開始。これは、税制改正により、30歳未満の孫らに教育資金を一括して贈与する場合、税制上の優遇措置として、一人当たり1,500万円を上限に贈与税が非課税となる制度に対応した商品で、契約数は順調な伸びを見せ、2013年の日経優秀製品・サービス賞の最優秀賞(日経ヴェリタス賞)を受賞した。

教育資金贈与信託の受託状況

「教育資金贈与信託」パンフレット

表彰状を受ける北村邦太郎会長
また、信託が持つ資産管理と財産承継の機能を活用した新しい信託商品「家族おもいやり信託〈一時金型〉」の取り扱いを同月より開始。これは、商品申込時に法定相続人の中から帰属権利者を一人指定しておくと、相続発生時に煩雑な相続手続きによらず、帰属権利者からの申出によって資金を迅速に支払うもので、「自身の相続に際して、当面の生活費や葬儀費用など、万一の時にすぐに必要となる資金を家族のために備えておきたい」といったお客さまの家族への思いやりを形にした商品となった。

「家族おもいやり信託」パンフレット
〔2〕暦年贈与サポート信託
2014(平成26)年12月、三井住友信託銀行は、家族への贈与をサポートする新たな金融商品「暦年贈与サポート信託」の取り扱いを開始した。相続税および贈与税の税制改正を受け、相続や贈与への関心がさらに高まるなか、お客さまのニーズに応え、暦年課税制度の条件を満たす贈与手続きを三井住友信託銀行がサポートする商品とした。

「暦年贈与サポート信託」パンフレット
〔3〕結婚・子育て支援信託
2015(平成27)年度税制改正において創設された「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」に基づく新しい信託商品として、同年4月には「結婚・子育て支援信託(愛称:つなぐ想い)」の取り扱いを開始した。税制上の優遇措置として、この商品を通じて贈与をする方から孫・子らの贈与を受ける方へ結婚・子育て資金の一括贈与が行われた場合、1,000万円を上限に贈与税が非課税となった。

「結婚・子育て支援信託」パンフレット
〔4〕セキュリティ型信託
2015(平成27)年9月には「セキュリティ型信託」の取り扱いを開始。これは、預け入れた資金の払い出しにあたって、あらかじめ指定された家族等の同意が必要となる商品。高齢化社会の進展や、振り込め詐欺をはじめとした特殊詐欺の件数が増加傾向にあるなか、資産の管理や保全に不安を抱くお客さまのニーズに応えた商品となった。
また、全国各地の県警や自治体と連携して、「セキュリティ型信託」の販売促進や認知度向上に取り組んだ。2016年4月に締結した神奈川県警との「地域安全に関する協定」をはじめとして、静岡・愛媛・栃木などの各県警とも連携を進めたほか、各県警・警察署との街頭キャンペーンに参加するなど、この商品の普及促進に注力した。