- 第2編
- 第1章 - 専業信託銀行グループとしての挑戦 2011~2016
ワンバンクとしての協働活動
合併(ステップ2)を1年後に控えた中央三井トラスト・グループと住友信託銀行グループは、逆風のなかにあっても収益を確保できる体質をつくり、時代の変化に対応しうる新しい収益の柱を打ち立てるべく、相互連携によって合併準備を進めた。基本スタンスは、「融和」ではなく「融合」。すなわち、健全な競争や切磋琢磨を通して完全に一体となることであり、キーワードとして「連帯・融合・チャレンジ」が掲げられた。それぞれが「お客さまと新信託銀行グループにとって良いことをひたすら考え、連帯感・一体感を持つこと」を求められたが、信託の良さを理解し、独立系信託銀行としてのあり方に誇りを持っている者同士であることから、意識の融合はスムーズに進んだ。
とはいえ、組織体制、システムはもちろん、企業風土や人事をはじめとする各種制度、業務の進め方などにも違いがあり、対応すべき課題は少なくなかった。2011(平成23)年度には、「ワンバンク」として、①収益シナジーの早期実現、②ディスシナジーの防衛、③コストシナジーの前倒しの協働施策を実施。「収益シナジー実現」では、投信、保険、確定拠出年金(DC)などの商品、サービスを相互提供し、収益を拡大。「ディスシナジーの防衛」では、統合後シェアトップの証券代行、不動産証券化、上位の年金・投信受託関連業務を中心に新規・防衛活動を共同で推進。「コストシナジーの前倒し」ではインターバンク取引のニーズ共有、すなわち低コスト調達資金の融通によりコストを削減したほか、不動産事業における重複拠点の集約、IR関連マーケットデータおよび汎用粗品などの共同購入などを行った。
また同年度には、こうした協働施策に加え、「事業哲学」の策定により事業戦略・施策等の理解・浸透を図り、事業運営方針等の周知徹底に取り組むとともに、戦略・施策を顧客属性、セグメンテーション、組織体制・チャネル、プロダクト・サービスの各要素別にマッピングした「戦略マップ」を策定し、戦略理解や事業間連携の促進に活用した。

合同新人研修

ワンバンクとして全国125カ所で開催したリテールセミナー(広島会場)