- 第2編
- 第2章 - The Trust Bankへの進化――「第2の創業」 2017~2019
3 証券代行事業
事業モデル変革への注力
2017(平成29)年度、証券代行事業では前期までの事業モデルを踏襲しつつ、「過去から培ったお客さまの株式実務のベストパートナーとしての強固なリレーションを起点に、外部環境変化により重要性を増している投資家・資本戦略等の経営課題に対し、事業横断でのソリューションを提供するベストパートナー」を新事業モデルと位置づけた。
証券代行事業の強みは、高いサービス品質と長年かけて積み上げられた顧客ロイヤルティと信頼感、そして広範かつ良質な顧客基盤であり、また、そのボリュームメリットに支えられた高いコスト競争力であったが、競合相手の増加などもあって手数料率の低下傾向が続いていた。そこで、強みに立脚した差別化のさらなる強化を図り、事業モデル変革を実現するため、2017年度からの5カ年計画として、①証券代行業務と親和性の高い領域を中核とした「投資家戦略ソリューション」の徹底強化、②法人トータルソリューション事業と一体となった資本領域における新たなプロダクト開発、③ソリューション強化戦力創出等に向けた戦力リソースシフトなどを推進することとした。
また、同年度の経営計画に基づき、法人トータルソリューション事業との協働により、取り組み先を、①日経225銘柄企業(株式市場を代表する225社)、②中型企業(①を除く時価総額300億円以上の上場企業)、③小型企業(時価総額300億円未満の上場企業)、④新興企業(新興市場上場企業)に分類し、このうち、機関投資家の行動の影響を受けやすく、ニーズの変化が大きい中型企業を当面の最注力層と位置づけて「資本戦略領域ソリューション」強化に向けた戦略を推進した。
当グループは、引き続きニーズの高いIR・SR *1 関連ソリューションに注力しつつ、幅広い層に反復継続的に提供可能なソリューションとして、「統合情報配信サービス」および「総会プロセス電子化」の導入を検討。統合情報配信サービスでは、当グループ顧客層への調査・分析を通じて、企業動向に関する独自の付加価値情報を創出し、各種公表情報もあわせて配信することとし、2019年3月「SMarT Board」(当グループへの株主名簿管理業務委託者向け情報配信サービス)、2020(令和2)年4月「SMarT Knowledge」(上場企業に向けたガバナンス・株式実務に関する情報提供サービス)として公開した。
総会プロセス電子化については、2022年9月施行の改正会社法による株主総会資料の電子提供制度を商機と捉え、個人株主議決権行使電子化プラットフォーム構築、総会招集通知一括掲示などの新サービスの開発に向けた検討を開始し、みずほ信託銀行との協働により2018年度にスマートフォンでの議決権行使サービス「スマート行使」の提供を開始した。
また、2017年度には、RPA(Robotic Process Automation)を導入し、コールセンターでのAI導入などによる業務効率化を推進するとともに、決算工程管理システム「SMarT Plan」を下期から稼働させて決算業務をワークフロー化し、コスト競争力の一段の強化を図った。
その他、2017年度に開発を推進した新プロダクトは表のとおりである。
企業の投資家に対するコミュニケーション活動をIR(Investor Relations)活動と呼ぶのに対し、株主総会での議案説明や賛成票の確保など、投資家のうち、特に株主に焦点を当てた活動をSR(Shareholder Relations)活動と呼ぶ。

新たに開発したプロダクト(2017年度)